あぶらだこ

忿溜艦 – あぶらだこ

さかしま滑脱
遠泳胴持つ
葉液彼岸
寝台に浮く
見痩せした襞

微醺の型式 乾坤一擲
鬼百合ひらく 狭霧を押して
メランコリアン
具図愚呪露しぐれ

日に散弾清明に浴び
夕焼け白目に充満す

ひとつ生の 木漏れ日背にうけ
我に似る人
水泡へ歩いてく 銀泥の地の光悦

我生と寂の他 死はいらむ
帳の襞に隠れた亡骸よ
充ちて
難破
水面キュンぎら大星天

いつになく惨たらしく
蒼空苛烈三万km
目薬さして
乳脂肪に可能態

定法悟性と不惑は貯える意思
暖かい直流に忘却され
声を瀞かす久遠の黙礼
御霊から皆目亡失下駄箱へ
下駄降りそそぎて黄昏れ
旋回牛車は小休止
帆船デッキを
さかしま
滑車
滔獄

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入港 – あぶらだこ

とけ墜ちた網膜紫けむる岬に汽笛が昇るあなたは星の屑ふと私星の中もどれない刻のよう

猫の角 – あぶらだこ

ものみな積分があるように運ばれてくる寒い朝窓ぎわで外をみると棺桶に乱立してる詫びた餌にキャット空中大三回転瞼の母もキット海中半回転行くあてがあるから行くあてがな

七草牧場 – あぶらだこ

薄墨に村のはずれ平原の向こうの山山螺旋雲が別れをつげる影を滲ませている杉林が正午の黄金光線を捉え角にまがりこみ法螺貝ならした牛の群暁の黎明ケロイド牧原帆をはる

グレーグビズマズ – あぶらだこ

観念の息吹がせめぎあう午後火の玉をみる罪をなからんば咎めて値をもとめれば褒める全能なる種よ生存とはかえ玉をみる全て唸を変換出来ぬたてまえ に雪片に斧音たてもぐら

凍える炭 – あぶらだこ

燵起点のない乱脈に雪原の船外砂礫の下には征服しえない叛乱熊橇走らせ滑ツ記ス記ス滑ツこのまま白く全く淡く黄道開闢刷晨常軌一石に神々籠もるくもり曇る炭遍路糠雨に背筋

禁泳 – あぶらだこ

わざと弛めたあやとり蚊とり禁男墨書き海女小屋ハルゲン凪潮に廃屋鯱の背泳ぎゴンドラ蹴飛ばし冴えにける砂時計尾が持たぬ背骨赤潮に赤味噌湖国の虫の闇海女の白歯みたりど

全方眼ブルー – あぶらだこ

針がくるった海洋泡沫解くように揆測する方眼面は豆乳機体の抵抗素を注ぐ神経は倒れた半熟卵曇天ランタン持つ無言に街の河へこのまま行けば訃報をとらねば舐める舌平均棒翼

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