ネオンテトラの麻疹たち – 鬼束ちひろ

木蓮の肌 ネオンテトラの麻疹(はしか)たち
小さなノートの始まりごと彷徨わす
幾千の接吻(くちづけ)で

魔法なんて効きもしない毒だから
破ったノートのいきさつごと書き交わす
幾千の接吻(くちづけ)で

目を覚まさせて 感染(うつ)り合い 溺れてゆく
互い在る隙間さえ 激しく埋め合って
「誰でもなく 貴方だから」と呼び合う声は
目を覚まさせて 感染り合い 溺れてゆくの

会いたい程になぜ遠去かるの?
泣きたい程になぜ近くなるの?
眠れない程に夜を超えてゆけるの?
数え切れない程になぜと抱き締め合うの?
幾千をも きっとそれ以上でも

三日月の吐息 ネオンテトラの麻疹(はしか)たち
目を伏せる時は天使さえをも突き堕とす
心ごと連れないで

運命なんて蜜蜂のささやきだから
目を開ける時は悪魔さえをも引き止める
心ごと連れないで

目を覚まさせて 探し合い 溺れてゆく
やるせない狭間さえ ただそう埋め合って
「誰でもなく 貴方だから」ときっと二人は
目を覚まさせて 探し合い 溺れてゆくの

優しい位になぜ遠去かるの?
苦しい位になぜ近くなるの?
眠れない位に日々を超えてゆけるの?
数え切れない証さえも抱き締め合うの?
幾千へと きっとそれ以上へと

会いたい程になぜ遠去かるの?
泣きたい程になぜ近くなるの?
眠れない程に夜を超えてゆけるの?
数え切れない程になぜと抱き締め合うの?

優しい位になぜ遠去かるの?
苦しい位になぜ近くなるの?
眠れない位に日々を超えてゆけるの?
数え切れない証さえも抱き締め合うの?
幾千へと きっとそれ以上へと