闇に走れば – 谷山浩子

闇に走れば 暗い田んぼの
水に 外燈の灯がうつる
うつる水面に 息をひそめて
心がとまる
白いライトに 浮かぶ横顔
口をむすんで 前を見てる
からだを寄せて まぶた閉じれば
あしたも見えない
このままふたり このままずっと
二度と帰らぬ 闇の中へ
力をこめて 力をこめて
アクセルを踏んで あなた

車をとめて 寒い燈台
まわるあかりを あきもせずに
あなたのタバコが からになっても
みつめていた
次のことばが 言い出せなくて
聞きたくなくて 冷えた頬に
くちびる寄せれば 襲いかかるような
あなたのにおい
はなれたくない はなれたくない
抱きしめたまま 動かないで
こうしていれば このまま朝が
来ないかもしれないから
このままふたり このままずっと
自転を停めた 星のように
あなたの胸の わたしの胸の
鼓動だけ 感じていて

こんな時にも あなたの心を
知らない人の 影がよぎる
それなら闇は わたしだけのもの
はじめからずっと

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