わたしを殺さないで – 谷山浩子

愛してくれないまま わたしを殺さないで
彼女を思いながら わたしを殺さないで

青白い月影 さしこむ夜の部屋で
わたしの呼吸は ほとんど消えかけてる
あなたが触れれば それだけできっと
とまってしまうほど危うい 微かな鼓動

わたしはわたしじゃない 恋したあの時から
わたしはわたしじゃない 見知らぬ弱い獣
これは誰?

わたしをわたしに つなぎとめてた糸が
こんなにたやすく ほどけてしまうなんて
自分を投げ出す自分を見ている
どうにもできずに あなたの目の中 踊る

あなたを憎んでいる
世界中の誰よりも
あなたを憎んでいる
いとおしいその横顔

やさしい言葉とほほえみの牢獄に
わたしを閉じこめ あなたはふり返らない
どんなに呼んでも どんなに思っても
世界が消えても わたしが死んでも きっと

愛してくれないまま わたしを殺さないで
彼女を思いながら わたしを殺さないで

愛して

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