出世灘 – 西方裕之

今日の大漁を 母御(ははご)に贈る
海は男の 出世灘
えらくなるより やさしくなれと
教え貰った 小浜の空を
獲物かざして 呼んでみる

夏の陽ざしに じりじり焦げる
網の匂いに つばを呑む
思い出さすな 牛深港
俺をこんなに やきもきさせる
可愛いあの娘(こ)は まだ他人

出世出世と 目の色変えて
人と争う 柄じゃない
俺の墓所(はかしょ)は 天草灘だ
自分ひとりを 燃やして生きる
赤い夕陽と 義兄弟