紫の花火 – 薬師丸ひろ子

あの日私は日傘をたたみ
防波堤から波を見ていた
あなたに呼ばれ振り向いた時
夕日が胸に流れておちた

そうね別れを決めていたこと
きっとあなたは知っていたはず
華やいだ娘を演じた私
心で拍手してくれたのね

紫の花火 まんまるに
紫の花火 海の上
綺麗だね 瞳に残る
綺麗だわ 夏の残像

空の花火を海が映して
世界を一瞬明るく照らす
笑顔のままで見あげた頬の
光った糸をあなたが拭いた

最初に好きになった私が
最後の言葉切り出すなんて
あなたにすれば何て勝手な
わがままな娘(こ)と思うでしょうね

紫の花火 燃えつきて
紫の花火 落ちてゆく
綺麗だね 結んだ指を
綺麗だわ そっと離した

紫の花火 まんまるに
紫の花火 海の上
綺麗だね 瞳に残る
綺麗だわ 夏の残像