波の谷間に 命の花がふたつ並んで 咲いている兄弟船は 親父のかたみ型は古いが しけにはつよいおれと兄貴のヨ 夢の揺り籠さ陸(おか)に上って 酒のむときはいつもはりあう 恋仇けれども沖の 漁場に着けばやけに気の合う 兄弟鴎力合わせてヨ 網を捲きあげるたったひとりの おふくろさんに楽な暮らしを させたくて兄弟船は 真冬の海へ雪の簾を くぐって進む熱いこの血はヨ おやじゆずりだぜ
泣けた 泣けた堪え切れずに 泣けたっけあの娘(こ)と別れた 哀しさに山の懸巣(かけす)も 啼いていた一本杉の石の地蔵さんのョ 村はずれ遠い 遠い思い出しても 遠い空かならず東京へ 着いたなら便りお呉(く)れと 云った娘(ひと)リンゴのような赤い頬っぺたのョ あの涙呼んで 呼んでそっと月夜にゃ 呼んで見た嫁にも行かずに この俺の帰りひたすら 待っているあの娘(こ)は幾つ昔(とう)に二十(はたち)はョ