娘ざかりを お前だけ苦労させると 泣いた母そっとなぐさめ 来たものゝ小雨つめたい 露路裏はなぜか なぜか 泣けちゃうギターひき酔うたお客が くれた花散らずおくれと 頬よせるひとりさみしく 待ちわびる寝ついたまんまの 母さんにゃ花は 花は せめての夢だもの好きな人さえ あきらめた弱いむすめと せめないでいのちみじかい 母さんをギターつまびく 細い手で抱いて 抱いて あげたい夜なのに
さすらいの たそがれおもいでの あの空暮れてゆく はるかな山なみのいろすすり泣く そよ風よぬれてまたたく 一つ星ただひとり ただひとりここに旅路のはてよよろこびは はかなく散る花の いのちよ消えてゆく 夕べのなないろの 雲忘られぬ おもかげよもえてささやく あのひとみただひとり ただひとりここに旅路のはてよ
旅のたそがれ 知らない街でとんぼ返りを していたら夢で見た見た 母さんのほそい眼のよな 月が出たわたしは淋しい 角兵衛獅子まねく太鼓に 寄る子を見れば親につれられ にこにことわたしゃ親なし 友だちも遠くはなれた 旅ぐらしわたしは涙の 角兵衛獅子つらいかせぎも ひもじい夜もみんな知ってる 獅子頭風に吹かれりゃ 笛の音も故郷恋しと すすり泣くわたしは旅路の 角兵衛獅子
女ひとりが 生れた日から幕があくのね 涙の舞台夢をみただけ たゞそれだけで風が邪魔する雨が降る惚れているから 冷たい素振り知ってくれない かなしい貴方消えて行く行く その足音になんど泣いたか夜明けまでこんなきびしい 人の世だけど晴れの出番が かならず来るさ今日の苦労は 忍んで耐えてみごと花道越えてやろ
丘のホテルの 赤い灯も胸のあかりも 消えるころみなと小雨が 降るようにふしも悲しい 口笛が恋の街角露地の細道 ながれ行くいつかまた逢う 指切りで笑いながらに 別れたが白い小指の いとしさが忘れられない さびしさを歌に歌って祈るこころの いじらしさ夜のグラスの 酒よりももゆる紅色 色さえた恋の花ゆえ 口づけて君に捧げた 薔薇の花ドラのひびきにゆれて悲しや 夢とちる
いつも苦労に 負けまいと声をかけ合う 友がいるのれん酒場で 逢う奴は酔うて明日の 夢をみる酒は男の 酒は男の子守唄帰りたいけど 帰れないそれが故郷と 言うものさ握るグラスに 浮かぶのは俺を案じる 母の顔酒は男の 酒は男の子守唄急(せ)くな騒ぐな 人生はみんな似たよな 身の上さ夜のねぐらが 寒いなら酔うてねんねん 眠ろうか酒は男の 酒は男の子守唄
こんな静かな 渚の日ばかりつゞくものなら あゝ うれしかろに恋……島と島と 小舟で結ぶ恋はわびしい 瀬戸の海桃の花咲く 小島の春に旅へでたきり あゝ 戻らぬひとよ月……こよい私の 涙でくもる月の寝顔の かなしさよどこを照らして むなしく燃える沖の早瀬に あゝ 灯りがひとつ星……離れ離れの さだめに泣いて星が流れる 瀬戸の海
風まかせ 風まかせ流れ旅空 風まかせまっぴら御免と 渡り鳥こんな気ままな おいらでもほんにこの世で たゞ一人あの娘ばかりにゃ 惚れやしたエーコラ サテマタあの娘ばかりにゃ 惚れやした惚れやした西東 西東きょうも街道 西東おひかえなさんせ 三度笠宿場雀は メじゃないが思いだします ふるさとの可愛いあの娘の 初島田エーコラ サテマタ可愛いあの娘の 初島田初島田吹きさらし 吹きさらし知らぬ他国は 吹きさ
目を閉じて 何も見えず哀しくて 目を開ければ荒野に向かう 道より他に見える ものはなし嗚々 砕け散る宿命(さだめ)の星たちよせめて密やかに この身を照せよ我は行く 蒼白き頬のままで我は行く さらば昴よ呼吸(いき)をすれば 胸の中凩は 吠き続けるされど 我が胸は熱く夢を追い 続けるなり嗚々 さんざめく名も無き星たちよせめて鮮やかに その身を終われよ我も行く 心の命ずるままに我も行く さらば昴よ嗚々 
剣は相手を 倒せるけれど人の心は 斬られまい強いばかりが 勝ちじゃない泣ける弱さが 人間なのさ淋しさがああ 淋しさが白刃を染める剣に生きよか 情けに死のかいつも迷いが つきまとうままよ 誇りも 剣も捨て俺も生きたや 女のために別れてもああ 別れても忘れるものか剣は勝っても いつかは滅ぶこれがはかない 世のさだめ待つか
こころおきなく祖国のため名誉の戦死頼むぞと涙も見せず励まして我が子を送る朝の駅散れよ若木のさくら花男と生まれ戦場に銃剣執るも大君のため日本男児の本懐ぞ生きて還ると思うなよ白木の柩が届いたら出かした我が子あっぱれとお前の母は褒めてやる強く雄々しく軍国の銃後を護る母じゃもの女の身とて伝統の忠義の二字に変わりゃせぬ
泣くないもとよ いもとよ泣くな泣けばおさない 二人して故郷をすてた 甲斐がない遠いさびしい 日暮れの路で泣いてしかった 兄さんのなみだの声を わすれたか雪も降れ降れ 夜路のはてもやがてかがやく あけぼのにわが世の春は きっと来る生きてゆこうよ 希望に燃えて愛の口笛 高らかにこの人生の 並木路
Love is over 悲しいけれど終りにしよう きりがないからLove is over ワケなどないよただひとつだけ あなたのためLove is over 若いあやまちと笑って言える 時が来るからLove is over 泣くな男だろう私の事は早く忘れてわたしはあんたを忘れはしない誰に抱かれても忘れはしないきっと最後の恋だと思うからLove is over わたしはあんたのお守りでいい そっと
花はさいても 他国の春はどこか淋しい 山や川旅の役者と 流れる雲は風の吹きよで 泣けもする「お島さんもう若旦那と呼ぶのはよしてくんな今の俺らは 檜屋の若旦那でも千太郎でも ありゃしない追手の目をくらます十蔵一座の旅役者見よう見真似の俄か役者が化けの皮をはがされずにここまで 逃げおうせたのはお島さんみんなお前さんのおかげだよ」渡り鳥さえ 一緒に飛べる連れがなければ 辛かろに口でけなして こころでほめ
あの娘可愛や カンカン娘赤いブラウス サンダルはいて誰を待つやら 銀座の街角時計ながめて ソワソワニヤニヤこれが銀座の カンカン娘雨に降られて カンカン娘傘もささずに 靴までぬいでままよ銀座は 私のジャングル虎や狼 恐くはないのよこれが銀座の カンカン娘指をさされて カンカン娘ちょいと啖呵も 切りたくなるわ家がなくても お金がなくても男なんかにゃ だまされまいぞよこれが銀座の カンカン娘カルピス飲
私にお酒を 注ぐ時のあなたの指がふるえてるわかるのよ・・・わかるのよ女にはこれが最後の 旅なこと別れ話を きりだせぬ男のこころが かわいそう夕方ちかくに 降りだしたみぞれが雪に かわるころ終るのね・・・終るのね私たち風をひいたと 嘘ついて腕をまくらに してもらいだかれてねむった 夜もあるしあわせでしたと 目をとじて甘えてみたい 夜明けです泣かないわ・・・泣かないわひとりても今度どこかで 出逢う時き
風が舞うのか お龍(りょう)の声か頬をたたいた 京しぐれ夢のつづきが あるならばおまえと見たい 最後まで龍馬血染めの龍馬血染めの 夢が哭く馬鹿が無用の 剣ぬいてそれで日本が 拓けるか話してわかる 刺客(やつ)ではないがまことこの世は ままならぬ浮いて漂よう 高瀬船土佐の高知の はりまや橋で坊さんかんざし 買うをみたヨサコイ ヨサコイ……維新回天 命を賭けて散って実のなる 華もある荒れて吠えるな 土
赤いランプが マストにともりゃ南京町に 夜がくるお名残惜しいが おさらばさらば散るよ散る散る 木蓮の花いとしい人の いとしい人の肩に散る月が出ている 外人墓地は二人の夢が 残る丘今夜は船出だ おさらばさらば鳴るよ鳴る鳴る 別れのドラが淋しかないか 淋しかないか海つばめ船は出てゆく メリケン波止場けむりが白く ただ残るどうか達者で おさらばさらば散るよ散る散る
星の流れに 身を占ってどこをねぐらの 今日の宿すさむ心で 枯れはてたこんな女に 誰がした煙草ふかして 口笛ふいてあてもない夜の さすらいに人は見返る わが身は細る町の灯影の わびしさよこんな女に 誰がした飢えて今ごろ 妹はどこに一目逢いたい お母さんルージュ哀しや 唇かめば闇の夜風も 泣いて吹くこんな女に 誰がした
山の淋しい みずうみにひとり来たのも 悲しいこころ胸のいたみに たえかねて昨日の夢と 焚きすてる古い手紙の うすけむり水にたそがれ せまるころ岸の林を しずかに往けば雲は流れて むらさきのうすきすみれに ほろほろといつか涙の 陽が堕ちるランプ引きよせ ふるさとへ書いて又消す 湖畔のたより旅のこころの つれづれにひとり占う トランプの青い女王(クイン)の さびしさよ
雨が静かに降る 日暮れの町はずれそぼ降る小雨に 濡れゆくわが胸夢のようなこぬか雨亡き母の ささやきひとりきくひとりきく 寂しき胸にああ お母さん、あなたが死んで三年私はこの雨にあなたを想う雨! 雨! 泣きぬれる雨。木の葉も草もそして私も……丘に静かに降る 今宵のさみしさよそぼふる小雨と 心の涙よただひとりたたずめば亡き母のおもかげ雨の中雨の中 けむりて浮かぶ
あなたと二人で 来た丘は港が見える丘色褪せた桜 唯一つ淋しく 咲いていた船の汽笛 咽(むせ)び泣けばチラリホラリと 花びらあなたと私に ふりかかる春の午後でしたあなたと別れた あの夜は港が暗い夜青白い灯り 唯一つ桜を 照らしてた船の汽笛 消えてゆけばチラリチラリと 花びら涙のしずくに きらめいた霧の夜でした
君の名はと たずねし人ありその人の 名も知らず今日砂山に ただひとり来て浜昼顔に きいてみる夜霧の街 思い出の橋よすぎた日の あの夜がただなんとなく 胸にしみじみ東京恋しや 忘れられぬ海のはてに 満月が出たよ浜木綿(はまゆう)の 花の香に海女(あま)は真珠の 涙ほろほろ夜の汽笛が かなしいか
まぼろしの影を慕いて 雨に日に月にやるせぬ 我が想いつつめば燃ゆる 胸の火に身は焦れつつ しのび泣くわびしさよせめて痛みの なぐさめにギターをとりて 爪弾けばどこまで時雨 ゆく秋ぞ振音(トレモロ)寂し 身は悲し君故に永き人世を 霜枯れて永遠に春見ぬ 我がさだめ永ろうべきか 空蝉(うつせみ)の儚き影よ わが恋よ
湯島通れば 思い出すお蔦主税の 心意気知るや白梅 玉垣にのこる二人の 影法師忘れられよか 筒井筒岸の柳の 縁むすびかたい契りを 義理ゆえに水に流すも 江戸育ち青い瓦斯灯 境内を出れば本郷 切通しあかぬ別れの 中空に鐘は墨絵の 上野山
窓を開ければ 港が見えるメリケン波止場の 灯が見える夜風 汐風 恋風のせて今日の出船は どこへ行くむせぶ心よ はかない恋よ踊るブルースの せつなさよ腕にいかりの いれずみほってやくざに強い マドロスのお国言葉は 違っていても恋には弱い すすり泣き二度と逢えない 心と心踊るブルースの せつなさよ
目ン無い千鳥の高島田見えぬ鏡にいたわしや曇る今宵の金屏風誰のとがやら罪じゃやら千々に乱れる思い出はすぎし月日の糸車回す心の盃に紅はさしても晴れぬ胸雨の夜更けに弾く琴が白い小指にしみてゆく花がちるちる春が逝く胸の扉がまた濡れる目ン無い千鳥のさみしさは切れてはかない琴の糸青春(はる)の盛りの若い葉にむせび泣くよなこぬか雨
赤いリンゴに 口びるよせてだまってみている 青い空リンゴはなんにも いわないけれどリンゴの気持は よくわかるリンゴ可愛や 可愛やリンゴあの娘よい子だ 気立のよい子リンゴによく似た 可愛い子どなたが言ったか うれしいうわさかるいクシャミも とんで出るリンゴ可愛や 可愛やリンゴ朝のあいさつ 夕べの別れいとしいリンゴに ささやけば言葉は出さずに 小くびをまげてあすもまたねと 夢見顔リンゴ可愛や 可愛やリ
涙じゃないのよ 浮気な雨にちょっぴり この頬 濡らしただけさここは地の果て アルジェリヤどうせカスバの 夜に咲く酒場の女の うす情け歌ってあげましょ 私でよけりゃセーヌのたそがれ 瞼の都花はマロニエ シャンゼリゼ赤い風車の 踊り子のいまさらかえらぬ 身の上を貴方も私も 買われた命恋してみたとて 一夜の火花明日はチェニスか モロッコか泣いて手を振る うしろかげ外人部隊の 白い服
星はまたたき 夜ふかくなりわたる なりわたるプラットホームの 別れのベルよさよなら さよなら君いつ帰るひとは散りはて ただひとりいつまでも いつまでも柱によりそい たたずむわたしさよなら さよなら君 いつ帰る窓に残した あの言葉泣かないで 泣かないで瞼にやきつく さみしい笑顔さよなら さよなら君 いつ帰る