いつかの青年 – 竹島宏

いま君は どこで どうして いるのですか
渋谷には また歪(いびつ)な ビルが建ちました
はじめて この街へ来た あの日に解(と)いた
荷物の 匂いなど もう忘れそうです

ただ空を 散らす 鳩の群れを見つめて
故郷の海 心のどこか 探してた
どこにも 居場所などない気がしてたけど
それこそ その事が 東京と言う場所

僕はここにいる ここにいるんだと
砂まじりの風に向かい いつだって叫んでる
夢にもがく手を 握り直して
いつかの青年に 声をかけながら

高架下 壁のらくがき みんなひとり
選んでも 道に迷い 運を 当てにする
行き交う 人の名前を 誰も知らずに
気づけば Earphone ボリューム 上げてた

母さんを 楽に させてあげたいけど
心配ばかりさせていることわかってる
吐き出す息の重さは 時間と同じ
命の宿題が増えてゆくようです

飾らずに笑い 悔しさに泣いて
心があると確かめて いられれば いいのかな
遠く伸ばす手に つかめるものを
いつかの青年は あきらめていない

僕の靴 ちゃんと 汚れているでしょうか
この道の 泥や土に 応えていますか
小さな 水溜まりにも 虹は架かると
いまでも 変わらない 幸せの手がかり

ここまで来たなら ここからまた行こう
どう歩いてきても時は 明日しか示さない
夢に届く手は 誰にでもある
いつかの青年は きっとそう言う

いま君は どこで どうして いるのですか
渋谷にも まだ綺麗な 空はありました