忘れもの — 矢井田瞳

夏がきたら 川へ行こうね 火を持っていって 野菜焼こうね
果たされず終いの約束 山積みの忘れもの

忘れものは語らない なんでフラレタか解らない
ふすまの中 本棚の中 飛ぶ鳥跡を濁しまくり

小さな溝 時間が深く深く掘って
渡れない あなたの岸辺に戻れない

嫌いになれたら楽なのに 嫌いなところをあげていこう
100個も200個もでてきて こんなに愛してたって気付いた

ずれた視線 強がりが答えを遠ざけて
帰れない あなたの岸辺に帰れない

愛すること 失うこと 天気のこと 明日のこと
続けること 分け合うこと 痛いこと 嬉しいこと
魚のこと 電気のこと 車のこと 乗り換えのこと

あなたがいないと わからないことばかり

距離感が計れない 倒れたギタースタンドと過去
しばらくの間は私が 世の中の忘れもの