夏に会えなくて — 相田翔子

朝を待てずまだ冷たい
砂に立てば
夏が終る淋しさが
静かにしみてくる

海辺ではしゃいでた
いとこ達を眺めながら
私はただひとり
あのひとだけ待っていた

もう会えないのね その訳さえ
分からないままに
また琥珀色のあの笑顔を
追う夢を見た

床の上に花のように
散らしてゆく
去年撮った写真さえも
渡せはしないのね

ほのかな輪郭を
指先でなぞってみても
無邪気な夏毎の
笑い声が響くだけ

もう会えないのね その訳さえ
分からないままに
この誰も来ない窓を閉めて
まだ帰れない

なぜ会えないのか その訳さえ
分からないままに
あの海を渡る風の音に
また振り向いた