好きと言わない あんたの口を指で抓(つね)って 添い寝する背中の温もりで 分かりますあんたほんとは 優しい人追(つ)いて行けない 人生(みち)だと分かっていても 心騙し騙されてせめてあんたが 帰るまで一緒に乗りたい 騙し舟 嫌と言えない わたしの癖を夜が笑って 逢いに来るこの肌の手触りで 分かりますあたしほんとは 冷たい女消えて無くなる 恋だと分かっていても 思い隠し隠されて夢を見たいの いつまでも
白萩(しらはぎ)匂う 秋の宵やっとこれたね 想い出横丁二人暮した 外れの家は今は赤い提灯 夫婦(めおと)のそば屋あゝ苦労の道に あゝ思いを馳せてあゝあなたが泣けば 私も泣いたさあ 角の神社に 花など添えて帰りましょう そして明日(あす)からまた 生きましょう 見覚えのある 二日月(ふつかづき)ここでこうして 見上げたものね暗い路地裏 面影消えて今は青いネオンの 明りが揺れるあゝ賑わう街に あゝ背中を向
桜の蕾が 咲く頃に“逢いに行きます”と不意の便り 光って凍って 水鏡屈んで髪解く 私がいます 長い間 空ばかり見て冬の雲を 追いかけていた 明日はこの空 季節に返して私 歩き始めます ひと雨ごとの 春の風あなたの胸にも 渉りますか 逢えない逢えると 花びらを拾って浮かべて 日を捲ります 長い間 星を見上げて一つのこと 願い続けた 明日はこの星 夜空に返して私 歩き始めます 長い間 空ばかり見て冬の雲を 追いかけて
小雪降り積む 寒い朝鉛の汽車 翻り あの人を連れて行く知らない町へ 連れて行く 待合室の片隅で 膝を抱えて聞いていた 無情の汽笛聞いていた ホームの横は 日本海生きてく為に 離れ往く あゝ 最果ての町悲しみが 降り続く 白い闇夜に 鳴る汽笛最後の汽車 息吐いて あの人を連れてくる夢見る頃に 連れてくる 錆びたストーブ 火が点けば終着駅が赤くなる 迎える顔も赤くなる 一年振りの 日本海乗継バスヘ急ぐ人 あゝ 最果ての