ロビーの隅に — 由紀さおり

時刻は丁度 午後十時
回転ドアが 廻わってる
空港からの バスが着く
知らない国の 話し声

ロビーの隅に 立つ私
人待ち顔な 影法師
今日こそ彼と 結ばれる
心の準備 して来たの

私の顔を 知っている
誰かに逢うと 嫌だから
煙草を喫って ふしだらな
女のふりを 女のふりを しているの

ガラスの外の 大通り
こまかい雨が 降っている
子供を連れた 人がいる
恋人らしい 人もいる

ロビーの隅に 立つ私
人待ち顔な 影法師
電話の彼の 約束に
私は愛を 賭けてみる

ちょっぴり派手な 服を着て
人眼につくと 恐いから
こういう場所に 慣れている
女のふりを 女のふりを しているの