浪花慕情 – 田川裕之

呑ン兵衛横丁の 屋台でひとり
酒におぼれた お前の噂
聞いて探した 道頓堀に
呼べば響くぜ 中座の太鼓
ひとめ見たさに 逢いに来た
ああ 浪花慕情の 命のおんな

すねてはせばめた 世間の隅で
俺とお前の ど阿呆暮し
赤いネオンに 身を染めおうて
泣いて別れた 宗右衛門町の
運命指折りゃ 早や五年
ああ 浪花慕情の 思い出ばなし

ひと足ちがいの 小さな春を
待てなかったか この俺さえも
苦労させたと 肩抱きおうて
お礼まいりの 水掛不動
夫婦善哉 夢に見た
ああ 浪花慕情は 春呼ぶ灯り