風は旅びと – 湯原昌幸

旅する風が 見たものは
紫陽花模様の 浴衣着て
袖で涙を 拭う女(ひと)
いいひとくれた オルゴール
投げて壊して もう鳴らぬ

旅する風が 聴いたのは
夕陽の渚に 打ち寄せる
赤いさざ波 歌う唄
生きてくことが つらい日は
人はひとりで 聴きに来る

旅する風の いたずらは
愛した想い出 抱きしめて
星をみつめる 女(ひと)のため
ガラスの青い 風鈴を
そっと息かけ 鳴らします

旅する風に 聞いてみた
どこから来たのか どこ行くか
夜の砂丘で 聞いてみた
明日の朝に わかります
砂の模様が 教えます