月影の宿 – 渚ひろみ

いいのよどんなに 遅れて来ても
墨絵に昏れゆく 山の宿
もしやあなたの 身の上に
何かあったか 気にかかる
悪い方へと 傾いて
胸が裂けそうな 月影の宿

いいのよ世間の そしりを受けて
誰にも知られず 袖しぐれ
追ってあなたを 困らせる
万に一つも ありません
窓をかがみに 化粧して
背伸びして待つ 月影の宿

いいのよ落葉の 優しさなのね
静寂(しじま)の中にも 音がある
踏んで悔いない 茨道
何処にこんなに 耐えられる
恋の烈(はげ)しさ あったやら
あなた恋しい 月影の宿