月の舟 – 清水由貴子

風の砂山は さらさらと音ばかり
鳥のなき声も今はなく
暗い冬の日ぐれ

ひとりうずくまり 指先を走らせて
描いた名前まで消して行く
風が走りながら

さびしいな さびしいな
またひとりきり ただひとりきり
迷い子みたいよ
つきが海の上にかかっているけど

誰が歌うのか 悲しげなハーモニカ
日ぐれ遠ざかり夜の闇
青く包む中で

浜にあげられた釣舟の影ばかり
人の姿などまぼろしね
やはり風の音ね

さびしいな さびしいな
またひとりきり ただひとりきり
迷い子みたいよ
月に舟を出して何処かへ行きたい

またひとりきり ただひとりきり
迷い子みたいよ
月に舟を出して何処かへ行きたい