水槽の脳 – 深居優治

『彼の頭の中には重力があるの』って
ヘルマは言った
僕の知らないところで。

ケルトは言った
『君の頭と、彼の頭が
繋がっているというのなら
それを肯定しよう。』

ヘルマは言った
『見ればわかるわ
あんなにも苦しそうな
顔をしているじゃない。』

ケルトは言った
『君の中にある“苦しみ”が
彼にとっての“喜び”だったらどうする?』

困ったようなフリして
取り繕う星が
瞼を開いて
夜が呼吸を始めた。

『私の中に無いもの、私はそれを
否定も肯定も出来ない。
したいとも思わない。』
『それなら私に何も言わないで。
あなたに何がわかると言うの?
私に構わないで。』

ケルトは言った
『世界は鏡のようで
理解はもっと深いところにあった。』

狂ったように歌う
空知らぬ雨が
隠し切れなくなったら
話を聞かせてよ。
孤独だった『彼』は
深く深く沈んでく。
千切れてしまった僕は
あなたの海を漂うだけ。