わたしの人生 — 江利チエミ

愛は終るから いとおしい
生命はつきるから 美しい
着物ぬっては 壁にかけ
眺めてほどいて またぬって
あなたをじっと 待つことが
思えばわたしの 人生でした
思えばわたしの 人生でした

夢はさめるから いとおしい
涙はかれるから 美しい
たとえあなたが いなくても
二つの茶碗に お茶をつぎ
見えない影と 話すのが
思えばわたしの 人生でした
思えばわたしの 人生でした

花は枯れるから いとおしい
炎はつきるから 美しい
胸の痛みも 悲しみも
感じることさえ わがままと
あなたのために 棄てたのが
思えばわたしの 人生でした
思えばわたしの 人生でした