結婚しました – 柴田聡子

やっぱハワイより船に乗ろうよ 麦わらの影の網目
なんにも変わらないね こっちだけが休みで悪いね

うちのチワワと亀と鳥は今日も明日もまたかわいいね
閉じこもってしまう部屋は無い方がいいと思う

つくりもののまつげからこぼれ落ちる涙のうしろを
マツダの軽で追いかける泥まみれの赤い靴

芍薬でしょうか薔薇でしょうか あの日の花火を例えるなら
今好きなことどれくらい 好きでいられるかなんて話

夢見た 夢のために今日も なにもかもやりすごせそうな気配

はじめて大きな音をたてて こだわりのテーブルを叩く
よろこんで買って来た 箱の中身はちばてつや

振り返ると春夏秋冬と 気づかなくなってきた髪の毛の
色や長さに気をつけないと あっという間に謝れないまま

流れる川が ただ流れる 流れていくのをただ見て居る
だますよりはだまされる方が まだいい まだいい まだいいよ

雪もあんまり降らなくなって 暮らしやすい楽な北国
明日の朝の雨降りは ふたりでは持てぬ傘が要る

絵に描いてた梅は散ってしまい 枝だけ広がる画用紙も
許せるようになった日々が お待たせと頭を掻いて

広げた手はとぼけたふりして 何もかも知りながら待っていた
離されない手をただ離さないように 離されない手をただ離さないように