帰らないでと すがって泣けばあなたこのまま いてくれますか窓の硝子を 叩いてもおんなごころが 届かないわたしも行きたい……別れのベルが鳴る 最終列車 顔をかくした コートの襟に霧が降ります プラットホームくちの動きで 解るから言って下さい ねぇあなた愛しているよと……ふたりを引き離す 最終列車 赤いランプが 螢のように揺れて流れて 未練がのこるいのち燃やした 恋だもの信じたいのよ いつまでもあなたを待
山の清流(せせらぎ) 雪解け水に揺れる木洩れ陽 緑の夜明けふたりがうれしい 幸せだから肩に肩に肩に置いた手 温かい一生よろしく 私のあなた 遠い汽笛が ポーッと鳴いて北の山脈(やまなみ) 列車が急ぐ明日へ歩こう やすらぐ町がきっときっときっと何処かに あるはずよふたりを包んだ 出湯(いでゆ)の煙 八重に咲くなよ おんなの椿恋は一重で 命を賭けるあなたと並んで 待ってる春を知って知って知って溶けるか な
連れにはぐれて 啼く海鳥の声もしばれる 北の海じょんがら節は 怨みの歌とあなたを捨てて 未練を捨てて遠い人なら 人なら忘れてしまいたい ひとりぽっちの この淋しさは誰もわかって くれないがじょんがら節は 涙の歌とあまえてみたい 縋ってみたい何処へ行ったら 行ったら女の夢がある 強くなったら あの街あかり赤くもいちど 点(とも)したいじょんがら節は 救いの歌とわらってみたの 歌ってみたのそして今度は 今
雪の越後を あとにして私を捨てた あなたはどこに…… 想い想いつづけて 昼も夜もないわ涙をくぐるたび 女はおとなになってゆくのね取りのこされた 案山子のように歩けない歩けない ひとりぽっちじゃ歩けない傷つけたままで 男っていいですね 過去に過去につかまり 今日も明日もないわどんなに焦がれても 私はあなたの踏台だったのねおもかげだけを 私にくれてとどかないとどかない いまのあなたにとどかない夢を追いかけ
胸にひとりの 魔女が住み女は愛に 背(そむ)くのね過ぎて思えば あなたが命いまさら知った 己(おの)が罪(つみ)悔み足りない お宮の松に金色夜叉の 月が出る わかりますとも 女ならお宮の踏んだ 迷よい道見栄を飾れば 誠が逃げて闇路を照らす 夢もなくダイヤモンドも 錦(にしき)の綾(あや)も癒せぬ傷が 身をえぐる こんどあなたに 逢えたなら死んでもそばを 離れないどうぞ私の 肉ひきさいて怨みに代えて 下
雪が私の 母ですとほほえむ肌に 雪を見た裾をからげて 帯にはさんで叶わぬ恋を 背おって歩く駒子のように意気地(いきじ)で生きる 越後の女 あんた私に 似てるから苦労するわと かすれ声炬燵蒲団(こたつぶとん)に お酒ならべて男なんかに 負けちゃだめよと紬(つむぎ)の肩を稲穂(いなほ)のように ふるわす女 雪が紡(つむ)いだ 恋ならば燃やせど燃えぬ 氷花好きなあなたに 好かれたいから別れ上手な ふりをして
浮草みたいな ふたりでも夢があるから いいと言うこんな男に 明日(のぞみ)をかけてつくす女の いじらしさどこへはじけても俺はおまえと おまえと生きる ふたりで背おう 苦労なら重くないわと 目で笑う一対(つい)の湯呑みに 茶ばしらみつけあなたごらんと 肩よせるこの手離すなよ俺はおまえと おまえと生きる この雨あがれば 街うらに遅いふたりの 春がくる泣いたら俺の この目がみえぬ抱けばいとしい 輪丁花(じん
かなしい恋の 伝説がひと足ふむたび きしみますおぼえていますか 去年のこの日あなたと歩いた 泣き砂の浜あゝ別れの手紙を ちいさくちぎり海にちらせば 雪になる あの日につづく 足あとが涙のむこうに 見えてますあなたをさらった 月日の波もおもいで消せない 泣き砂の浜あゝふたりでひろった この貝がらを海にもどせば 消えますか もどりの冬の きびしさがひとりじゃなおさら こたえますあきらめきれない ぬくもりだ
海が荒れる 女が痩せる 船も来なくなる恋が逃げる 涙がのこる 酒場の片隅逢いたい 逢いたい 死ぬほど逢いたいタバコにむせた ふりをして別れまぎわに 涙をかくしたあなた思いでけむる 暖炉も消えてやがて……やがて港は朝 お酒がしみる グラスが割れる 夢も見なくなる過去がぬれる 未練がつのる つめたい小窓にもえたい もえたい もいちどもえたい言葉はいつも 強いのに酔ってすねても やさしくゆるしたあなた悲し
この世はひとり あなただけ貴方が死ねば 私も終るさまよう蝶々を 迷わせてルラルララ ルラ赤い炎(ほのお)で 焼きつくす虞美人草は 業(ごう)の花 静かな雨に ぬれながらそれでも花は 妖しく匂う虞(ぐ)や虞(ぐ)や 汝(なんじ)を如何(いか)にせんルラルララ ルラ遠い昔の ため息をいま呼び返す 艶の花 藤紫(ふじむらさき)の 稲妻(いなづま)が光れば落ちる 哀れの雄花(おばな)すてられながらも しがみつ
待てど暮らせど来ぬひとを宵待草のやるせなさこよいは月も出ぬそうな こよいは月も出ぬそうな
今宵出船か お名残り惜しや暗い波間に 雪が散る船は見えねど 別れの小唄に沖じゃ千鳥も 泣くぞいな 今鳴る汽笛は 出船の合図無事で着いたら 便りをくれりゃ暗いさみしい 灯影(ほかげ)の下(もと)で涙ながらに 読もうもの
雪解けの頃 ふたり連れ故郷に帰る 約束でした春はまだ浅い 越後路に降りたったのは 私だけいい人を みせられなくてごめんなさい お母さん東京暮し 楽じゃないけどもう一度 やりなおします
雨の駅裏 いつものお店あなたの夜汽車の 汽笛がひびく送る約束してたのに顔見りゃきっと また泣くわつめたい私を ごめんなさいと箸で書いてる 涙のカウンター 雨の駅裏 思い出通り今夜はひとりで はしごをするわこれが最後と 云いながら泣いては飲んだ 恋のあと子供の私を ごめんなさいと酒につぶやきゃ 涙の灯がゆれる 雨の駅裏 帰らぬ夢が悲しいしづくを 散らしてはてる酔えぬグラスで 濡らしても指輪のあとは 痛む
あなたはいつ 旅立ちますか何も言わずに 母が…手料理こさえて いますはじめて会う日の 目じるしにそっと一枝 ユキツバキ抱いてホームで 待ってますきっといい日に なるようにこころうるおい 夢のせてあなたは今 あさひの中ね廻れ時計よ 早く…二人のこころよ 急げ…今日からあしたへ 夢抱いて―― あなたはまだ 知らないけれど綺麗なんです 山が…すき透ります 川が…手紙で話を するよりも一度あなたに お会いし
ひょろりよろける お前の肩をしっかりしろよと 抱き上げりゃすまぬすまぬと 千鳥足俺もお前も 夢を拾ってまた落とし男同志の 縄のれん 逢えてうれしい 何年ぶりか幼ななじみの 顔と顔見れば見る程 なつかしい俺もお前も 情欲しくて路地裏を男同志の 縄のれん 通り流しの 酔町(よいまち)ギターひとつ頼むよ お兄さん故郷(くに)の唄でも 弾(ひ)いてくれ俺もお前も夢を拾ってまた落とし男同志の 縄のれん
人生に 春があるなら私は あなたに咲く 花になりたいひそかに あざやかに 咲きつづけていつも あなたの やすらぎになりたい 人生に 夏があるなら私は あなたを呼ぶ 海になりたい漂よい ゆらめき 波をよせていつか あなたの 港になりたい 人生に 秋があるなら私は あなたに吹く 風になりたいほほえみ しあわせ 愛を連れていつも あなたに 青空を運ぶの 人生に 冬があるなら私は あなたに降る 雪になりたい静か
今年の春は 遅れて来るわ遅れた春は 暖たかい傷を重ねた 命がふたつ舵を取れない 故郷へ帰りたい 帰れない 恋小舟 涙で結ぶ こころと心他人になんか 切らせない肌を寄せ合い 真冬の海で夢の港を 探そうね泣かないで 泣かないわ 恋小舟 昨日に生きる 女を捨てて明日へ渡る 夜の岸愛と言う名の あなたに曳かれついて行きます 世間川離さない 離れない 恋小舟
誰が女を 弱いと言うのいいえ 私は 負けません坊や しっかり つかまっててねうしろ指さす 世の中を涙みせずに 歩くから 好きなあなたを 亡くしたときに川で拾った この坊やなんで私に 捨てられましょう恋は捨てても 人の道捨てちゃ渡れぬ 柳橋 人は何かを 信じて生きるそうよ 私も あなただけ岸の柳に 偲んで呼べばおせん泣くなと 言問(こととい)の空で鳴る鳴る 暮れの鐘
男なんてが くちぐせのばかな女が 恋をしたどうせ今度も 駄目なのと笑いとばして 見たものゝ信じてみたい もう一度そっともらした 一人言 二度といやだが くちぐせのばかな女が 恋をしたこんな私が 恋なんて出来はしないと わるぶって煙草くわえた 口もとに何故か浮かんだ 微笑(えみ)一つ 春夏秋と 時が過ぎ二度目の冬の ある夜に肩に粉雪 うけながらそっと立たずむ もどり橋
花ぬすびとは ゆうべのあなた夢追人は 夜明けのわたしそえぬ運命の 浮き世の風に咲いてみたい 赤い命夜がいじめても おんな花 ぬくもりほしい 止まり木の隅にがてなお酒 無理して呑むわひと夜逢えなきゃ 明日がみえぬばかなやつと 叱りつけて涙止まるまで こぼれ花 化粧はしても 心のなかはあなた好みの 素顔でいたいこんな小さな 純情だけどいつか春が きっと来るわひとり言いきかす 夢見花
越路(こしじ)の里に舞う風花はどこかしあわせ 薄い花あなたと別れた旅路の果ては耳をすませば瞽女うたがあゝ……聞こえます 明かりの帯をひきずりながら闇を流れる 汽車のふえあなたを怨めば涙もやせて飲めぬお酒も欲しくなるあゝ……未練です 鉛の空につぶされそうな北の町にも 春は来るあなたを忘れて今日からひとり生きてゆきます泣かないわあゝ……わかれ唄
雪のなかから 生れても赤く咲きます 雪椿もえる想いで 花びら染めて咲けばわかって くれますか胸にひそめた 花言葉 岩の湯舟に ひらひらと落ちて重なる 雪椿おもい出せよと ゆうのでしょうか淋しがり屋と 泣き虫が酔って合わせた くちびるを 雪の花火に 夢をみた恋の名残りか 雪椿窓をあければ 色鮮やかな花を浮かべて 水色の時が流れる 信濃川
津軽平野に 雪降る頃はヨー親父(おどう)一人で 出稼ぎ仕度春にゃかならず 親父(おどう)は帰るみやげいっぱい ぶらさげてヨー淋しくなるけど 馴れたや親父(おどう) 十三みなとは 西風強くて夢もしばれる 吹雪の夜更けふるな ふるなよ 津軽の雪よ春が今年も 遅くなるよストーブ列車よ 逢いたや親父(おどう) 山の雪どけ 花咲く頃はよかあちゃんやけによ そわそわするネーいつもじょんがら 大きな声で親父(おどう
命二つを 結ぶ糸ちぎれて哀し 相模灘あなた あなた あなた…この世の次の 次の世は私のために 下さいと泣いて血を吐く ほととぎす 添えぬ運命が すれ違う京都の駅は 涙雨いいえ いいえ いいえ…あなたと生きた 一とせは千万年と 同じです夢を宝を
束ねた髪に ほこりをためて一皿五銭の 菜を買う灯りさざめく 帝劇も宵の銀座の にぎわいも知らぬ知らぬ他国の うつし絵か青い青い秋刀魚の 目に涙 なんにも無けりゃ 男も逃げるしかたがないのは わかっても露地に蚊放り火焚くころは恋のみれんに 鳴子坂憎い憎いあいつの 唇の匂い匂い呑み消す 香り酒 斜めにしいた せんべい蒲団疲れたネオンが のぞきこむ情けひとすじ
灯り喰えて 沈む身に似てやしないか ほてい草胸をはだけて 団扇をつかうふてたつもりの 襟足に昔しゃこれでも 花だよと忍び泣きする 艶ぼくろ 落ちてもがけば もがくほどはまる深みの 泥地獄恋だ愛だとほざきなさんなここは命の切り売りでその日 その日を生きている泪女の 吹き溜り 飲んで騒いで いるときはみんな殿様 華族さまそれでいいのさ このにごりえにまことなんかは
爪を噛む 女にだけ聴こえる あの歌は裏切りの哀しみか男の呼びかけかひゅる ひゅると鳴るのは真冬のあらしでも泣いたら駄目 死んだら駄目それなりに青い鳥 膝かけの 上で読む破れた手紙にはいいころの想い出や未練の数々が哀しげな演歌(はやりうた)遠くで 聴こえても泣いたら駄目 死んだら駄目それなりに青い鳥 窓ごしの漁火ははかなく搖れてても泣いたら駄目 死んだら駄目それなりに青い鳥
涙という木に 止まった鳥は人のやさしさ 忘れないどうせ俺らは 酒場のすずめちゅんちゅん ちゅんちゅんちゅんちゅん ちゅんちゅん注いでおくれよ 情の酒を 幸せ探して お前も俺も遠い故郷 捨てて来た体寄せ合う 酒場のすずめちゅんちゅん ちゅんちゅんちゅんちゅん ちゅんちゅん泣いてくれるな 裏町ギター 春の木漏れ陽 ここ迄おいでビルの谷間の横丁に今日も集まる 酒場のすずめちゅんちゅん ちゅんちゅんちゅんちゅん
北の港の 桟橋にあなたがつないだ みれん船このまま雪に うずもれても錆びてほろびる さだめでも小指に巻いた まっかな糸は涙 涙 涙なんかじゃ ちぎれない 寒さつのれば なおさらにあなたが恋しい みれん船ぬくもりほしい 酒なのに酔えば酔うほど 凍るよな汽笛が胸を ひきさく酒場涙 涙 涙ほしがる 唄ばかり 春を夢見る カモメよりあなたを待ってる みれん船氷の海が とけたって戻るあてなど ないけれど生きてる