逢いに来たのに 傘もなく髪が濡れます 乱れます石の畳の 冷たさがあなたの心に 似てますとつぶやく唇 震えます暮れて寂しい 泣き時雨 追えぬ運命(さだめ)に 振り向けば未練橋です 迷い橋離ればなれに 渡ったら再(ふたた)び会う日が 見えなくて身を切るように 凍(こご)えます夜更(ふけ)て切ない 泣き時雨 水面(みなも)ゆらゆら 水鏡なみだ落ちます むせび川つのる恋慕(おもい)を 切り離し木(こ)の葉(は
千里の海原 男の舞台船板一枚 仁王立ち飛沫(しぶき)の花びら きらりと浴びて出稼ぎ漁師が 網を引くふるさと離れて 幾月かお銭(たから)を 待ってろよ越中男衆の 心意気 前浜狭けりゃ 畑を肥やせ畑もないから 海に出た吹雪の朝でも 荒波蹴って行先根室か 樺太か女房子供よ 風邪ひくな帰るまで 泣くじゃない越中男衆は 北へ行く 鴎よおまえに 見えるかい幻の 強者が越中男衆は 語り草 越中男衆は 語り草
惚れた弱さが させるのか募る思いが させるのか甘い言葉に 隠した嘘をみんな罪とは 思えずじっとあてなく待つ身の 寂しさよ 未練心が させるのか馬鹿な心が させるのか燃えて切ない 焦がれる胸を逢って告げるは いつの日なのか願って待つ身の 頼りなさ 夢の欲しさが させるのか愛の欲しさが させるのか辛さ忘れて 想い出たどり細く汚れて 切れそな糸をつないで待つ身の 恋おんな
近頃めっきり もの忘れどうしてこの場所 俺はいる薬は飲んだか 飲まなかったか昨日の約束 ぽとりと落ちるこんな俺にも 懐かしいあの顔この顔 あんちくしょう元気でいるか 変わりはないかあかねの空に 声かける あんまり世の中 気ぜわしく忘れてしまえと 追い立てるそれでも昔が 遠のくほどに想い出ばかりが くっきり浮かぶ惚れた女を 待っていた雨降る街角 傘もなく覚えているか 幸せだろかあかねの空を 見ているか
雨が降る降る 雨が降る俺の心を 責めるよに別れに流した 切ない涙拭いてもやれず 背を向けた罪な奴だと 怨むだろうに傷痕沁みる 今夜の雨は 雨が降る降る 雨が降る俺の心に 音も無く辿れば過去(むかし)の 想いは巡り虚しく浮かぶ 面影よ悔むものかと 言い聞かせても俄かに騒ぐ 今夜の雨は 何処にもいるよな 男と女運命(さだめ)に泣けば 流される時間(とき)よ静かに 戻っておくれいつまで続く 今夜の雨は今夜の
川のほとりに 小さな酒場春を呼べない ママひとり話し上手な 裏がわに過去の重さが 見えかくれ春子…春子淋(さび)しいときは その名を信じ春の来る日を 待てばいい 他人(ひと)の担(しょ)えない 荷物を背負い辛さを見せない いじらしさ胸の痛みを 打ち明けてすがりつきたい 事もあろう春子…春子悲しいときは 素直に泣いて春よ来てねと 待てばいい 季節は流れ 夏から秋へ冬を逃(のが)れて 春を呼ぶこの世人の世
恋というほど 洒落(しゃれ)てなく愛というには てれくさく窓の西日に 振り向けば振り向けば 振り向けばおまえ…ふるさと見せて やりたいと約束いまも 果たせずに胸でつぶやく ラブレター すぎた過去(むかし)は ほろ苦く酔いにまかせた 傷もある街の灯りに 振り向けば振り向けば 振り向けばおまえ…小さな寝息 耳元で涙を誘う 夜明け前恨まないのか この俺を なにが幸せ 不幸せめぐる歓(よろこ)び 哀しみよ人の
巷(ちまた)に歌が 流れてる俺もつられて 口笛吹けば子供の頃の 流行(はや)り歌夢を担(かつ)いで 故郷(ふるさと)捨てて消えて恋しい 国訛(くになま)りなんでこうまで 心に沁(し)みる 世間の風の 冷たさがやっと見つけた 男の道を遠慮も無しに 通せんぼどうにかなるさと 歩いて来たが吹かれ飛ばされ 流された泣いてどうなる 情(じょう)なし東京(まち)に そぼふる雨に 濡(ぬ)れるのは恋のかけらか 昭和
古い手紙を 握りしめ運河(かわ)の流れる この街へ野アザミの 咲く頃が一番好きと 言ってたおまえ目立たぬ花が紫にほのかに染まる うぶな恋だった 便り途絶えて 季節(とき)が過ぎ俺のことなど 忘れたか野アザミを 見るたびに心に棘(とげ)が 刺さっていたよかもめの声に振り向けばそぼ降る雨に 濡れて船が出る 北へ線路を 追い駆けてたどる面影 無人駅野アザミは はかなくて秋風立てば 飛ばされ消えるか細い肩を抱
男はいつでも 飛びたがり愛より夢が 欲しくなる女は男の わがままをきいてあげたり なじったり夢追い人に させてもらったよおまえの涙と 引き換えにそんな昔は 忘れたと素知らぬ顔に また惚れるまた惚れる 何人女を 泣かせたかそれほどモテる 俺じゃない謝ることなど できなくていつもだんまり きめこんで勝手な奴を させてもらったよ今度はおまえと 二人旅そんなやさしさ 変だよと照れくさそうに 背をむける背をむ
雲を散らして 風を呼ぶ裸若衆の 勇ましさつつこ引(び)きだよ 俵が踊る五穀豊穣(ごこくほうじょう) 祈願(いのり)を込めて燃やせ男の 晴れ舞台 空を突き裂く 大号砲(だいごうほう)寒風(かんぷう)吹き消す 汗しぶきつつこ引(び)きだよ 祭りの花か西に東に 轟(とどろ)き渡る照らす男の 晴れ舞台 遠き時代を 今に継ぐ奉(まつ)る弁天 厳島神社(いつくしま)つつこ引(び)きだよ 綱取る腕に歴史(とき)を刻
ひとり手酌(てじゃく)の 日暮れ酒胸の線路が 軋(きし)み出すあかね色さす ふるさとへ心の夜汽車に 乗り込めば春まだ遠い 雪の駅あの日別れた おまえが浮かぶ 今日も行(ゆ)きかう 人の波夢を抱くやつ 捨てるやつ呼んで届かぬ ビルの谷心の夜汽車に 揺れながら背中の丸い おふくろに風の屋台で 半端(はんぱ)を詫びる 訛(なま)り隠さず 俺なりに負けてなるかと 生きてきた情(なさ)けひとつが 恋しくて心の夜
ままにならない 人の世にいつか見失(なく)した 道しるべ弾(はじ)き出された 茨(いばら)の道を冷めた世間と 冷めた世間と恨むのか 他人(ひと)に勝つとか 負けるとか狭い気持(こころ)に 消えた恋それも運命(さだめ)と 思うが嫌で灯り手探り 灯り手探り闇の中 ここが奈落の 底ならばあとは自分の 度量(はら)しだい言って聞かせて 見上げた先の夢が明日(あした)の 夢が明日(あした)の道しるべ
親父親父ヨー 今更知ったよ背中(せな)の大きさ 優しさ強さ小言一言(こごとひとこと) 聞けないままに重ねた歳が 骨身に沁みる不幸まるごと 詫び心 親父親父ヨー 達者なうちによ孝行真似事(こうこうまねごと) 一度や二度は背負い続けた 荷物をひとつ俺に預けて これから先は言葉少なの 笑いじわ 親父親父ヨー 心配するなよ越えてみせるさ 親父の器山ほどくれた 心の財産(たから)蕾(つぼみ)のままで 散らせるも
別れに 似合いの言葉探したの 眠れぬままにこの胸に 刻んだ夢をただ…壊(こわ)したくないから傷跡の ざわめきも時間(とき)が 癒すでしょう初めて出会った カフェテラス眩しい微笑(ほほえ)み懐かしく あなた…今は夕暮れこの街を ひとり歩いています 好みが 変わった頃の言い訳に 感じていたわ冷たさが 言葉に走る何故…遠くなる想い出虚しさも 寂しさも時間(とき)が 埋めるでしょう優しい背中の 温(ぬく)も
山合いの 小さなふる里よ水の眩しさ 変わらぬだろうか夕飯支度(ばんげじたく)の 煙がのぼる藁葺(わらぶき)屋根が 懐かしい都会(まち)の暮らしに 疲れた夜は遠い郷愁(おもい)に 新相馬 ハ~ア~ 遥か彼方(かなた)は相馬の空かよ なんだコラヨっと 数指折(かぞえ)れば 何年経ったかな~皆(みん)な達者で 暮らしているか夜仕事(よなべ)夜更けて 腹ごしらえの母ちゃんの味 懐かしい酒がしみじみ 沁みこむ夜
目を閉じて振り返る 夜の静寂(しじま)に甦(よみがえ)る想い出を たどる虚しさ逢いたくて恋しくて 心乱れて今はただ幻を 揺れて見上げてアー消えずに 浮かぶ面影抱いて抱いて 抱いて抱いて…夢見てひとり 微笑(ほほえ)みに抱擁(つつ)まれた 時の流れよ絡ませた指先に 愛を重ねて何もかも愛(いと)しさに 心震わせ寄り添えば温(ぬく)もりに 涙溢れるアー消せずに 残る面影抱いて抱いて 抱いて抱いて…夢見てひ
遠く離れた 故郷(ふるさと)を思い出すたび お袋(ふくろ)のくれた言葉が 身に沁みる痩せた背中で 手を握り苦労汗する 泪は糧(かて)となる 風の寒さや 冷たさを知った素振(そぶ)りの ひとり旅何時(いつ)か流され 闇の中心細さの なぐさめは郷土(つち)の匂いの 洩(こぼ)れる裏通り 肩を寄せ合い 注(つ)ぐ酒に苦さ浮かべて 飲み干せば問わず語らず 眼が笑う他人(ひと)の情(なさ)けが 温(ぬく)もりが
こんな名も無い 三流歌手の何がおまえを 熱くするわずか十五で 故郷(こきょう)を離れ唄を土産の 里帰り久し振りだと 目と目で交わす昔と変わらぬ 握るその手の温(あたた)かさ 出来の悪さに 手を貸すあいつ喧嘩負け犬 かばったあいつ広い東京に 馴染めぬままに書いた泣き言 二言三言(ふたつみっつ)「負けて帰るな 男じゃないか」あの日の返事は 俺の大事な宝物 齢(とし)を重ねた 互いの顔に深い絆の 笑みが湧く
母を想えば 温もりで優しく抱擁(つつ)んだ 母がいる茜の空から 花便りいつの日帰る日 待ちわびるありがとう ありがとう母は故郷 我が大地 母を想えば 幼い日涙で叱った 母がいる泣き虫悪戯(いたずら) 甘ったれ心配気苦労 かけましたありがとう ありがとう母は故郷 我が大地 母を想えば この頃は小さい背中の 母がいる心の灯りに 夢のせて幸せ点(とも)して 贈りますありがとう ありがとう母は故郷 我が大地あ
風に吹かれて 名も無い花が咲いて一輪 儚(はかな)く揺れる表通りに 背を向けて何を好んで 裏通り俺と似たよな はぐれ花 惚れた素振(そぶ)りの ひとつも見せず熱い情(おも)いは 心の隅に隠す男の 意気地なし薄い縁(えにし)に 泣ける夜はホロリ身に沁みる 苦い酒 醒(さ)める夢でも 欲しいと縋(すが)る肩の震(ふる)えが 再(ま)た胸揺らす弱音吐くなと 云い聞かせ春に追われて 何処(どこ)へ行く俺もお前
帰る背中に 夜風が騒ぐ送るあの娘(こ)の 呼ぶ声か別れ間際に 部屋灯(あかり)を消してかくす涙に 心が痛む明日逢えるさ ひと夜の別れ 無理も云わずに 我がまま云わず何を好んで 身を焦がす胸に抱きしめ 時間を捨てて朝を迎えて あげたいものを明日逢えるさ ひと夜の別れ ひとの縁(えにし)の 見えない糸が結ぶ運命(さだめ)の めぐり逢い初(うぶ)なお前の 真心だけは守り通して 幸福あげる明日逢えるさ ひと夜
親父の年を 七つも過ぎてわかったことは なにもない男は畳 一畳あれば昔に逢える 夢ん中涙のわけは 語らずに酒場の隅に 置いてゆく昭和生まれの 昭和生まれの俺らしく 愛とか恋に 愛想(あいそ)がなくてためいきだけが 風に舞う道端咲いた 名もない花よおまえがなぜか いとおしい時代にずれた 性分とからりと笑い 襟を立て昭和生まれの 昭和生まれの俺らしく 歩いた歳月(つきひ) 刻んだ顔に夕陽が沈む 今日もまた
風を裂くよな 梁川(やながわ)太鼓吾妻(あづま)おろしで 鍛えた技か政宗(まさむね)ゆかりの 八幡様(はちまんさま)の火の粉火祭り 火振(ひぶ)り山みちのく梁川(やながわ) 城下町 上がる尺玉 揺さぶる音に五臓六腑(ごぞうろっぷ)の 血潮が騒ぐ政宗(まさむね)亡失(かく)れて 三百余年流す灯篭(とうろう) 広瀬川みちのく梁川(やながわ) 城下町 東阿武隈(あぶくま) 西には奥羽(おうう)山脈(やま)の
何度サクラを 見られるだろう想い浮かべる 遠い春母とふたりの 静かな花見ぽつんと咲いた 名もないサクラ人でにぎわう 場所よりもここがいいのと 微笑(わら)ってたひとひら咲いては 気づかれもせずひとひら散っては 振り向かれもせずきれいだよ きれいです母の 母の……サクラ 空に溶け込む サクラのように目立つことない 母だった塩のおにぎり ほおばる僕をまぶしく見つめ 頭を撫でた強くなくても 正直に生きて行
北はしぐれて 夜汽車の窓にしがみついてる 病葉(わくらば)ひとつ噂たずねて 降り立つ駅は誰も迎える 人はないいくつ涙の 線路をたどるあなたに あなたに逢えるまで 恋遥か 過ぎた過去(むかし)と 引き裂くように港はずれの 海猫鳴いた耳を塞(ふさ)いで 乗り込む船は西の海峡 雪まじりうねる荒波 さだめと思いあなたに あなたに逢えるまで 恋遥か ふたり別れた あの日まで胸の時計は 凍りついてる明日はどの町 
男という字は 田んぼに力田畑もなくなり 力も失せた流れるままに 身を横たえて男はどこへ 男はどこへ時代を殴(なぐ)って やろうじゃないか恋のひとつも まだ出来るハアー ハアー 男の涙は 黙って流せあふれる気持ちに 理屈は抜きだ世渡り下手(べた)が 上手(じょうず)をするな男はどこへ 男はどこへ時代に逆立ち しようじゃないか遠いふるさと 見えるだろハアー ハアー 男は馬鹿だと 言われてなんぼ本気な奴ほど
風邪引くなんて 久しぶりおふくろ死んだ 朝以来大事な人を なくすたび寒さがつのる この頃さもしもおまえが 幸せに今もはぐれて いるのならもどっておいで 寒がり同士冬の薄陽(うすび)も 射すだろう マフラー首に 巻きながら小さな咳を していたね離れてやっと 気がついた淋しいおもい させたことあの日ぽつんと 置き手紙今もこの胸 熱くするもどっておいで 寒がり同士ボタンひとつの 掛けちがい この齢(とし)だ
泣くだけ泣いて 眠ればいいさ夜空に涙 撒(ま)き散らせ恋に破れた 悔しい傷がおまえを綺麗に させるから夢のつぼみは 三分咲き 寄せては返す 世間の波に流され呑まれ 俺もまた人のさだめと あきらめないでおまえの幸せ 見せてくれ夢のつぼみを 離すなよ かじかむ躰(からだ) こっちにおいで風よけぐらい なれるから誰も悲しい 足跡つけてそれでも明日に 歩き出す夢のつぼみを 抱きしめて抱きしめて