抱きしめられて — 山口百恵

暮れない街の壁にもたれて
音を消したTV黙って見てる
無口を通り過ぎて
せつなさだけ今はあなたに

男と女を足しても引いても
0(ゼロ)になる答えが哀しい

抱きしめて……ひび割れるほど
硝子の若さ その破片で傷つけたいの
あなたを

泣かされたあと薔薇を手折って
月の床に赤い花びら散らす
若さは意味もなしに
軽い罪を犯すものなの

歓び哀しみ足しても引いても
0(ゼロ)になる二人が淋しい

抱きしめて……息が切れるほど
私の胸の吹雪で今凍らせたいの
あなたを

抱きしめて……ひび割れるほど
硝子の若さ その破片で傷つけたいの
あなたを