華の刻 – 小田純平

町から町へと旅烏
当てになるのは技一つ
浮世の波に流されぬ
頼りになるのは芸一つ

汗も苦労も古傷も
拍手の音で消えてゆく
とうに忘れた青春も
ライトを浴びて甦る(よみがえる

幕が上がり切っ掛けを待つ
初夜か逢瀬か果し合い

舞台(ここ)に生きて生かされて
咲いて咲かされ 歌い続ける
あなたが あなたがいる限り
華として 生きましょう

お客が席に座る頃
鏡の我が目と見つめ合い
芝居の役の別人に
鍛えた我が身を引き渡す

一刻半(いっときはん)を共に生く
小箱の中の夢幻(ゆめまぼろし)
涙や笑い 感動は
嘘偽り無い 真実よ

幕が上がり掛け声を待つ
これで死ねれば本望よ

舞台(ここ)に生きて生かされて
咲いて咲かされ 踊り続ける
あなたが あなたがいる限り
華として 生きましょう

舞台(ここ)に生きて生かされて
咲いて咲かされ 歌い続ける
あなたが あなたがいる限り
華として 生きましょう