浮世舟 – 富士原旭

小雨にけむる 湯の香が恋し
情けの傘を 二人でかざし
濡れて甘えた ぬくもりが
女心に また炎(ひ)をつける
流れて行きたい あゝ 浮世舟

窓うつ風に 灯りが揺れて
裾の乱れを 忘れるほどに
強く私を 抱きしめて
夢を見させて 女の夢を
さまよいまどろむ あゝ 浮世舟

夜明けの宿に 湯煙りなびき
紅さす頬が 涙でにじむ
旅の終わりに 別れとは
この身枯れても あなたが命
二人で漕ぎたい あゝ 浮世舟

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