雨宿り – 大原ゆい子

しとしと霧雨が控えめに 音を鳴らして
乾いた街や人も柔らかくするみたい

読みかけの本に栞挟み
立ち上がるの 今は忘れたい事全て
霞んで見えないから

雨の導(しるべ)を 待っていたの
時が無情に過ぎゆく中で
一秒前の私には 届かない場所へ誘(いざな)って

木の葉にまとまった雨粒 滴り落ちて
根を張る土やシャツを少しずつ染めている

見慣れた摩天楼と人波は
今だけは遠くの星の夢 幻で
一人きりの空ね

雨の導(しるべ)を 待っていたの
時が無情に過ぎゆく中で
進まない景色を置いて 静かな雨宿りの場所へ

傘も持たないままで
探している
雨の導(しるべ)よ この場所で
時が無情に過ぎゆくよりも
一秒先の私には 届かないで いたいの

雲間に伸びる 輝きは
いつもより強く感じている
一秒前の私には 見えない光りが灯るように