あなたに逢えた うれしさに若い船頭さんの櫓に一つ赤いつつじの 花が散る舟は流れに 身をまかす濡れて泣いてる ヨー天龍育ち やさしく抱いて ほしいのにおもい涙が たまりがちいくら東京は 遠くともあつい情けが 近くする伊那もあたしも ヨー天龍育ち あしたが無けりゃ いつまでもつきぬ話しも できるのにとても薄情な 夜だからはやく二人に おなりよとむせぶ瀬の音 ヨー天龍育ち
紺ののれんに 白抜きで「きよの」と染めた 酒場町あんたと四十路(よそじ)の 旅立ちを祝う樽酒 ぽこんと抜いてふたりぼっちの 新店祝い唄 苦労 九の坂 越えたのもあんたの味の おかげです包丁さばきは 得意でも人をさばけぬ 不細工者の舵をとるのは  女房のつとめです 今は名もない 小店でもふたりでまこと 寄せあえば千客万来 春もくるたのみましたよ たのまれました誓う笑顔の 春待月夜唄
俺が愛した 黒百合の花咲いて散りゆく 病葉(わくらば)いとしこれから何を 心のささえ四十路中途で 逝(ゆ)くなんて神は無情か 生命灯(いのちび)消えてひと汽車おくれて 俺も逝(ゆ)く 寒くなるわと 手編みのセーター糸のほつれが 涙をさそう北国海峡 連絡船で生まれ故郷(ふるさと) 帰りたい写真見つめて 落した涙ひと汽車おくれて 俺も逝(ゆ)く 窓に小雪が ちらつく夜は人肌恋しい 手酌の酒になるおまえの好
夜の大阪好きなのに一人ホテルで待ちぼうけ人の気持を踏み付けて意地を張ってる貴方です食事の後で 出かけましょうよふらり二人の北新地 華のワルツ 酒場の隅に身を沈め誘い言葉を待っている恥を知らない女だときつく貴方に叱られた愛する気持伝えたつもりバカな女の北新地 華のワルツ 一つ一つが思い出の旅の大阪楽しいわ無理に私を突き放し救う口づけ上手いのね夏には夏の秋には秋の男と女の北新地 華のワルツ
死ぬも生きるも いっしょにと心にきめた 初恋の君と見ている 鵜飼い船涙なんかは捨てて流した 長良川 私(わっち)といえば 貴方(おまはん)とやさしく返す くになまり月に一度か 二度でいいそっとこうして 着物姿でいれるなら 義理と人情に 泣かされた母さんだけの 一人っ娘月のない夜は なお燃える胸のかがり火おもい乱れる 名古屋帯
逢いたい見たい すがりたいそんな気持ちに させるのはぶらくり丁の 恋灯り真田堀(さなだぼり)なら ネオン川和歌山泣きたい ああやるせない 誰にもいえぬ おもいでを夜がやさしく くれたのもあなたとわたしの 和歌の浦夢は消えない いつまでも和歌山泣きたい ああやるせない 流れる涙 紀の川に捨ててしまった 女でも慕情をこめて ブルースを唄う花散る 城下町和歌山泣きたい ああやるせない
潮の岬は 男の岬岩に飛沫の 虹がたつわたしゃ紀州の 串本育ちショラさん船唄 胸こがすここは串本 向いは大島なかをとりもつ 巡航船 アラヨイショ ヨーイショヨイショ ヨイショ ヨイショ 誰が立てたか 橋杭岩は渡る大島 舟の橋可愛い浜木綿 串本育ち太平洋をば 見てくらす潮の岬に
甘えさせたり 甘えてみたり誉(ほ)めてあげたり 叱ったり無駄に人生 歩いて来ない男ごころは お見通し鳥なら山雀(やまがら) 四十雀(しじゅうから)女はやっぱり 五十雀(ごじゅうから) 恋もしました 一度や二度は夢も見ました 人並に酸(す)いも甘いも 知ってるだけにかゆい所に 手が届く好みはそれぞれ 違っても女はやっぱり 五十雀 今度誰かを 愛したならばきっと最後の 恋になる夢も中半で 迷っていたらそっ
ひとりぼっちじゃ 無理だけど連れがあるから 生きられるすずめ すずめ 二人はすずめこの世の冬の 雪雀互いの愛の ぬくもりで凍えた羽を あたためる 惚れた貴方の 夢ならば親も捨てます ふるさともすずめ すずめ 二人はすずめ泣いたら負ける 雪雀心に点もす 命火が迷った時の 道しるべ 肌を刺すよな 北風も少しゆるんで 春間近すずめ すずめ 二人はすずめ世間の隅の 雪雀苦労の冬を 越えたなら明日は空へ 舞い上
名もない船よ のせとくれふたりでゆけば たどり着く遠くに見える 故郷(ふるさと)よ逢える嬉しさ 生きがいにいつかみつける 命船 浮世の運命(さだめ) こえてゆく寄せるしぶきは 怖いけどどこまでゆくの 教えてよ風が冷たい 港町錆(さ)びた岸壁 命船 かもめとぶとぶ 波止場だよどこにゆくのか あてもないふたりでこえる 道がある探してゆこう どこまでもやっとみつけた 命船
橋のたもとの 茶山花の花がなみだの ように散る潮来おぼろな 十三夜水棹ななめに漕げば夜船の 灯が濡れる 紺のかすりに ぽっちりと泪ひとつが おちるのもわかれつらさが させたのかむすめ船頭は紅もながれる 利根そだち 君が好きだと ささやいてなぜか真菰に 目を伏せたひとにきかせる 船頭唄あすは東京へ帰るおかたと 知りながら
あなたひとりに 情立て通し蕾ちらした 旅しぐれ濡れておもたい 初恋笠がむすぶ紅緒も えゝまゝにならない 恥かしさ いつかかた気に なるこのひとゝ思い染め縞 旅合っ羽唄も仁義も 玄人はだしうしろ姿も えゝどこか小粋な 渡り鳥 山のむこうへ 一刷毛ひいて雲がながれる 上州路ついて行こうか 打ち明けようかとってもせつない えゝ笠を片手に ひと思案
潮来の伊太郎 ちょっと見なれば薄情そうな 渡り鳥それでいいのさ あの移り気な風が吹くまま 西東なのにヨー なぜに眼に浮く 潮来笠 田笠(たがさ)の紅緒が ちらつくようじゃ振り分け荷物 重かろにわけはきくなと 笑ってみせる粋な単衣(ひとえ)の 腕まくりなのにヨー 後髪引く 潮来笠 旅空 夜空で いまさら知った女の胸の 底の底ここは関宿 大利根川へ人にかくして 流す花だってヨー あの娘川下 潮来笠
筑波山さえ 男体女体伊太郎かなしや 一本どっこ利根の河原じゃ すすきも泣いたふいとやくざにふいとやくざにヨー 誰がした すすき葉末に 光るは露かやさしい潮来の あのお月さん逢わず三年 こらえて利根もじっと流れるじっと流れるヨー 七十里 斬られ切傷 おいらはいいが荒れてはくれるな 故郷の土よきかぬ気性と いっても女雨はつらかろ雨はつらかろヨー 花あやめ
すねてなったか 性分なのか旅から旅へと 渡り鳥浅間三筋の 煙の下にゃ生れ故郷も あるっていうに男 沓掛時次郎 女知らずが 女の世話をその上 坊やの手をひけばすまぬすまぬと いう眼が辛い旅だ旅だよ 許してくんなこれがおいらの せい一杯 男意地づく 生命をかけてキリリと結んだ 三度笠義理はすんだが 泣かずに来たがまたも今日から 行先ァ知れぬ旅の合羽を 風が吹く
情ながした 加茂川にとけた淡雪 はかなくて好きや好きやと 寄り添うた恋の真実(まこと)が いまさらに 夜を待ってる ぼんぼりの色を映して ほほ染めた花の簪(かんざし) コッポリの舞妓いとしや 祇園町 焦(じ)れて焦らした 先斗(ぽんと)町恋のもつれに 三味の音もいややいややと 泣くようなおぼろ月夜の 東山 逢うてうれしや 木屋町に灯るネオンも うるみがち酔って踊って 夜も更けりゃ肌もなつかし 京の夜 花見
飲めないお酒を 飲みほしてほほを染めても いいですか窓の外には さびた船ふたり泊まりの ふたり船 あなた 二人で暮らした思い出が忘れられなくて わたしの命が尽きるまで 好きだと言った ひとことを信じて生きて いいですかたどりついたね 桟橋で夜の港の ふたり船 この静けさが 海は私の心 わかっているの海よ 波よ どうしたらいいの となりに座って ほしいから明日(あす)をしのんで いいですか夢のようだわ あの
わたしゃ さびしい雪女冷たい風に 耐えて来た雪が降る時ゃ 凍りつく燗酒ぐいっと ひと飲みゃ未練ねほろ酔う心に あの人の面影ああ 女の一生 障子のすきま風 身にしみるわたしはひとりで 生きてきたこの子だけはと 生きがいに寒いなぼうや 負けずに生きよあったかい部屋に 寝かせてあげるわねああ 女の一生 わたしゃね 体は細いが意地では負けませんよずーっと どいておくれ 昔も今も 意地だけはな通すよ 女一人でも辛
すべてをすてて 来てみたのあなたの波止場北の海二度目の恋は 不安ですふるえる肩を 抱きしめて 愛の告白 くれたけどふたりの波止場雪が舞うあすが来るまで このままで外した指輪 砂の中 わがままばかりで 許してねわたしの波止場今宵だけあした二人は 帰りますさよなら残し みなと町
海はあら波 雪が舞う波のしぶきに ないているかもめきいてよ この胸おもい船がゆくゆく 船がゆくまよい船 風が吹くから おもいだすやさしいあなた ないてるのなみだも枯れた 冬空だから行き先みえぬ このおもいまよい船 ふたりのちぎり 約束が枯葉のように 散ってゆくたどりつけない さみしさのせて船がゆくゆく 船がゆくまよい船
遠くはなれて 苦しむよりもすぐに飛んで 行きたいあなたのそばに とても辛くてとても辛くてあなた今すぐ 逢いたいよ 小雪降る今 思いでばかり泣いてないて この部屋わたしのいのち 捨ててもいいわ捨ててもいいわあなたあなたを 好きだから こよい会うより 心のおくに耐えてたえて 待ちますふたりのためよ 私とあなたあなたとわたし夢をもいちど 二人でね
紀ノ川の 紀ノ川の名もない医者の 嫁に来た白く咲くのは まんだらげ赤く咲くのは 愛の花…息を殺して 人目を避けて加恵は女に なりました 美しいお義母(かあ)はんに憧れて、何にも知らんで嫁いで来ましたがやのし… やさしさの やさしさの一枚下は 泥の沼義母(はは)は息子の ためと言い加恵は夫の ためと言い…男一人に 命をかけて女二人が 身を砕(くだ)く 痛み止めの眠り薬が出来上がって、治らん病気も治るように
夢のかけらに つまずいて耐えて忍んだ 冬もある泣いた分だけ ほほえみ合えばいい日がきっと 来ると言う…二つ並んで 咲く花はあなたと私 忍冬(すいかずら) 口が悪くて 不器用なそんな男(ひと)ほど 深情(ふかなさ)けどこの誰より あなたの事はわかっています 知ってます…裏も表も 見せ合ってあなたと私 忍冬(すいかずら) 傍(そば)にあなたが いるだけでつらい明日(あした)も 生きられる一人ぽっちに もう
一つ一目で 相惚れて二つ二人で 共苦労三つみせます 心意気女ですもの 女ですもの好きなお方に 命がけねえ だから愛してね 四つ夜毎に 見る夢は五ついつでも 貴方だけ六つ無性に 淋しいの女ですもの 女ですもの燃えて火になる 時もあるねえ だから愛してね 七つ涙を かみながら八つやきもち たまに妬く九つ恋しくさすからよ女ですもの 女ですもの十日逢わなきゃ 変になるねえ だから愛してね
島のつばきと このわたし紅く咲いてる 燃えているあの夜が嘘でなかったらはやく来て来て 逢いに来て花のおけさの 佐渡育ち 便り見るより 顔みたいだいて貰って 泣きたいの淋しいおもい させないで越後からなら すぐこれる花のおけさの 佐渡育ち 海の匂いが プンとする山と岩場の 外海府(そとかいふ)あつい手と手を にぎりしめいつかあるいた ささやいた花のおけさの 佐渡育ち 両津、相川、佐和田、小木街に慕情の 灯
あんたとわてが 泣くさかいこぼれる涙が 雨になるこんなに濡れて しもうたわ別れがつらい 仲の橋さいなら云えば いつ逢える雨の浪花の 道頓堀に真赤な恋の灯がともる ほんまに好きで たまらない浪花おなごの 恋の意地どんなにつらい 運命(さだめ)でもこらえてわたる ネオン川二人でいたい ひと夜でも雨の浪花の 道頓堀に真赤な恋の灯がともる あんたは わての命だす今夜の雨に 流したい昔のことも あるけれどなんに
あなたの熱い おもいでがわたしを燃やす 街灯り紅くせつなく やるせなく涙の中でゆれている夜霧の青森 十三湖(じゅうさんこ) すがれはぎれる 情けだと知ってはいても あとで泣くおんな心を 抱きしめる津軽は胸の ふるさとよ花散る弘前 五所川原(ごしょがわら) 逢えない夜が つづくからやつれるほどの ものおもいめぐり逢わせて 幸せに水色さえも 身にしみる小雨のさいはて 竜飛崎(たっぴざき)
ねんね根来の よう鳴る鐘はョ一里聞こえて 二里ひびくョバイバイ ねんね根来の かくばん山でョとしょじ来いよの 鳩が鳴くョバイバイ ねんね根来へ いきたいけれどョ川がおとろし 紀の川がョバイバイ さんさ坂本 箒(ほうき)はいらんョお不動詣りの 裾(すそ)ではくョバイバイ ねんね根来の 塔(と)の堂(どう)の前でョ横にはうかよ いざり松ョバイバイ ねんね根来の よう鳴る鐘はョ一里聞こえて 二里ひびくョバイバイ
なにも知らない 幼い身にも心細かろ 夕日の色は燃える沖縄 戦さの巷母のない子に 母のない子に風が吹く 唄も踊りも 忘れて捨てて娘ざかりを 嵐の庭へ響くつつ音 さんごの島に散って悔いない 散って悔いないこのいのち 二度とこの世に 咲く日はないがきっと咲きます またくる春に娘ごころを ひといろ赤く染めた桜の 染めた桜の九段坂
雨が止みました いい月ですよみて下さいと 窓をあける女(ひと)湯上がりなのか 黒髪の甘い香りに ふりむけば一輪のカトレアが夜風に白く 咲いていたよ 淋しさを友に 暮らしていると人恋しくて たまらないんだろう生々(ういうい)し気に お酌する細い手首に 傷の跡“みつめてはいやです”と小袖で隠す 山家の女(ひと) 虫の音(ね)をききに ぜひもう一度約束してと 別れ惜しむ女(ひと)一度だなんて 水臭い三度四度