萩の母 – 原たかし

風の便りも 断えだえの
江戸は夜寒の 伝馬町
偲ぶふるさと 椿の蔭に
佇む細い うしろ影
吉田松陰
母に一筆 湿す夜

永遠の別れを 涙松
今もにじむか 萩の町
生きて帰らぬ 覚悟の胸に
やさしく浮ぶ 母の顔
吉田松陰
閉じた瞼が ぬれる夜
親思う心にまさる親心
今日のおとずれ 何と聞くらむ

たとえこの身は朽ちるとも
大和魂が 生きる町
海よ台場よ 指月の城よ
眺めた遠き 母はいま
吉田松陰
幼な心に かえる夜