「今年さいごの 桜じゃろうか」「何を云うのよ お父さん」浮かれ花見の 川堤(かわづつみ)先の父娘の 言葉が沁みる桜に人あり 涙あり偲ぶあの人 桜前線 人の別れが 多くもなった変わる浮世の 日暮れ坂添えぬじまいの あの人にせめていっぱい 桜(はな)いっぱいにあの空埋めて しまうほど咲けよ匂えよ 桜前線 父が耕し 守った土に母のいく汗 いく涙そっと私も 触れたくて帰りたくなる 今日この頃よ桜に幸あれ 命あ
雨の小さな ひとしずく‥石のくぼみに 紅い花長い月日を 雨風うけて一人ここまで 歩いて来たのいいえ いいのよ 悔いはない石に咲く花 私の夢は 人を愛して 傷ついて‥泣いて沈んだ 過去もある夢と引きかえ 失くしたものを月を見上げて 数えた夜もいいえ いいのよ これでいい石に咲く花 根強い花よ 女涙の ひとしずく‥夢の根雪を 溶かす春自分信じて 笑顔になれば生きる喜び 両手にあまるそうよ そうなの 明日が
惚れて別れて 振り出しに戻る男女の 恋の仲双六遊びじゃ ないけれど賽コロ振るよにゃ いかないよ山あり谷あり 川もある上りが見えない 恋の双六 迷い道 玉の輿など 狙わずに男ごころを 射止めなよ人生双六 泣き笑いお酒がとり持つ 縁もある男を忘れる 酒もある上りはまだまだ 恋のかけひき 浮世道 振った賽コロ ゾロ目なら恋も女の勝負だよ双六みたいな この世でもこころの絆で 結ばれた真実一路の 愛もある上りは
男ぎらいを 通せるもんか私の女が 愚図り出す叱ってよ 行儀が悪いと 叱ってよ夜に人恋う 遣り場のなさにせめてお酒の 助けが欲しい 浮気させずに 遊ばせるほど器量がなかった 寂しがり戻ってよ 独りにしないで 戻ってよ待てばいつかは 帰ってくれるいいえ今度は 勝手が違う 夢で抱かれて 襟もと乱す素肌の白さが 闇に浮く逢いたいよ 今夜はむしょうに 逢いたいよ胸が痛んで 枕をかえす女ですもの あなたが欲しい
春を呼ぶのか ぼたん雪なさけの袂を また濡らす また濡らすあんたにあずけたおんなの夢を胸にうつして 寄り添ってはじらいながらかさねた指に 春の夢 青いほおずき 噛むようなかなしい過去は 捨てました 捨てましたあんたにひといろ 命を染めてついて行きます どこまでもうれしいくせに こぼれる涙 春の夢 どんな苦労を してもいいこころに結んだおんな帯
思い通りに すらすら行けばおもろうないで 人生芝居泣いて笑って 苦労して尻切れとんぼの倖せを汗水ながして 追いかける道頓堀の 夢あかり お人好しでも 甲斐性がなくてもあんたはうちの 大事な人や逢うて三年 法善寺合縁奇縁の結び神なさけの柄杓で 水かけるお不動さまの 夢あかり 浪花おんなのこの細腕に預けなはれや あんたのいのち辛抱する木に 花も咲く帯には短い 襷でもふたりのこころの
高砂や親の許さぬ 男と逃げて式もせぬまま二十と五年浮世寒風辛らくはないが切れた親子の 絆に泣けた 高砂や店も持てたし 繁盛もしたが何か足りない 銀婚祝いそれを子供が察してくれて呼んでくれたよ年寄たちを 高砂やがんこ親父の勘当もとけてめでためでたの二十と五年金の屏風に遅まきながら祝い涙の 真珠が光る
今日の飯(めし)より 明日(あした)の夢やそれがあんたの 口癖やものその夢一緒に また追いかけて肩を並べた 戎橋(えびすばし)あんたそびえる 通天閣や私 寄り添う 月になる 何は無くとも ふたりをつなぐ銭じゃ買えない 心の絆想い出映した 道頓堀の川に捨てたい 苦労でも背負(しょ)って行きましょ あんたとならば空に ひとひら 春の月 両親(おや)を泣かせて 一緒になって汗と涙の 路地裏住まい明日(あす)
出船の舳で 一升壜[いっしょうびん]がはじけてまっ赤な 旭日が昇るお守り袋に 子供らの写真を忍ばせ 赤道こえるいってくるぜ いってくるぜはるか地球の 裏側へ 毛蟹で稼いで ニシンで当てた思い出噺に 生きてる親父明日は倅に まかせてよ待っていてくれ 大漁便りそれでいいさ それでいいさ好きな酒でも やりながら 時計を合わせて 別れる女房0時を合図に
忘れたつもりのおもかげを思い出させて 今夜も霧が降るあんたはきっと帰ってきます半年待ったら 待たされついで紅いはまなす 枯れるまで 北国育ちの 鴎には嬉しがらせる 嘘などつけないさあんたはきっと 帰ってきます涙を枕に 夜通し酔ってほろり歌った お立ち酒 あんたの港はわたしだけ夢の灯りは 消さずに待ってるよあんたはきっと 帰ってきますもうすぐこの霧 霙に変わりゃ慕情抱えて 冬籠り
よしず囲いの 屋台を叩く霙まじりの 雨の粒あがらっしゃい あがらっしゃい宵の口から お客といえばあんた一人の すきま風嘘をからめた 身の上ばなしこぼしたくなる こんな夜は 取柄ないのが わたしの取柄根なし花なし お人好しあがらっしゃい あがらっしゃい襷はずして 口紅でもつけりゃ女らしさが でるかしら野暮で無口な 似たものどうしさしで飲むのも
霧が深くて 月山(おやま)が見えぬ山がみえなきゃ 明日が見えぬ胸にかかえた おんなの涙アーー アーー袖にこぼれて 草の露想い 出羽三山(みやま)を 六十里越えてあなたの 後を追う 夜なべ藁(わら)打ち 紅緒の草履指にくいこむ 見返り峠せめてひと言 本音を聞けばアーー アーーよわい未練も たち切れる想い 出羽三山(みやま)を 六十里山の野菊を 道連れに 根雪かき分け さわらび摘んで夢を煮込んだ 恋しい昔
一度吹雪けば 三日は止まぬ胸の隙間に 雪が舞うあの日約束 したものをなぜにあなたは 帰らない春はいつ来る おんなの春はせめて便りを 届けて欲しいあああ… 他の誰にも 許しはしない積る雪より白い肌夜にこぼれる 黒髪があなたさがして すすり泣く春はいつ来る 花咲く春はあてもないまま 待つのはつらいあああ… あなた恋しさ 愛しさ憎さ女心が また吹雪く流す涙の
あなたの残した 吸い殻をかぞえる女に なりましたそばに居たって 遠いのに離れて待てば 一夜でも死ぬほど長い こころ妻 あなたはどうして あなたなの私はどうして 私なの他の二人で あったならこの世の涯ての 涯てまでも離れずついて ゆくものを あなたに貰った 涙なら泣くのも たのしい しのび逢いそっと手のひら
今日もまた来て しまったの潮の匂いが からみつく港町カフェ あたしひとりのあゝ 窓際の席待つわと言った あの日からあんたのせいで 年をとれない心が暦を 忘れてる港の花は 摘まれるだけど鴎よ… 泣かせないで 今日もまた来て しまったのふたり毎日 おちあった港町カフェ あたしひとりのあゝ 窓際の席都会に心 奪われる鳥でも飛んで いたのでしょうか便りも途絶えて 二年半港の恋は うたかただよと鴎よ… 泣かせ
最後の “もしや…”に かけたのにやっぱりあなたは 来なかったおさけ頂だい 熱燗で洗いたいのよ このみれんあゝ独りとまり木 夜涕(な)き鳥 他人じゃなくなる 前ならばこんなに悔やみは しないはず嗤(わら)わないでよ ねえおさけ女ごころの 嘆(なげ)き節(ぶし)あゝ独りとまり木 はぐれ鳥 憎んでしまえば 楽なのにやさしさばかりが なぜ浮かぶ何処へ行こうか ねえおさけ北か南か 故里(ふるさと)かあゝ独りとま
ごめんなさいね 誰にでも愛想がなくって うちの人川に抱かれる 道頓堀で今は馴染みが 薄くても腕は確かな この人とここで ここで根下ろす 大阪のれん 灯りをともす 店先で通りすがりの 幼子を馴れぬ手つきで あんたがあやすそんな姿が 可笑しくて両手 思わず 口もとにそっと そっとゆれます 大阪のれん ご褒美なのね がんばりのこの街来てから 上り坂いつも傍目にゃ 頼られててもそうよそれこそ 表向きあんた私の
忘れることが できない人はきっとわたしを 忘れているわ妻という名の まぼろしもこころ変わりの 哀しい嘘もみんな涙が 洗ってくれた追えば追うほど 逃げてく おんな夢 いつかあなたと 旅した宿は夫婦(めおと)湯呑みと 揃いのユカタ蒲団ふたつを 寄せ合ってこころふたつを ひとつに重ね夢を見ました 同(おんな)じ夢を浮かぶ面影 せつない おんな夢 淋しさばかり 数えるクセは今夜限りで もうやめましょう朝が来た
辛い浮世の 迷い川浮いて沈むは 世のさだめ人は生きてりゃ 二度三度けつまずいては 立ち止まるソレ ヨイショ 負けるな 人生弱音 吐かずに…… 女の旅路 探し求めた 情け川好いて好かれた 恋なのに月に叢雲(むらくも) 花に風惚れた男(おひと)は 露と消えソレ ヨイショ 負けるな 人生酒よ 酔わせて…… 女の旅路 此処は一番 いのち川夢を追いかけ 歩いてく開き直って 身を捨てて意地を通せば 春が来るソレ 
都会暮らしの 寂しさにみちのく津軽が 夢に出る昔を語る 母さんのあの声恋しい こんな夜は夜空(そら)を見上げりゃ まんまる月夜今ごろふる里 雪ん中 お国訛りの 北風が戻っておいでと 戸を叩く囲炉裏火とろり 父さんは達者で酒など 呑んでるか窓の下行く 列車の屋根よ故郷(こきょう)の匂いを 乗せて来い 今日をつなげば 明日(あす)になる明日(あした)をつないで 生きて行く路地裏通り 見上げればまっ赤に染ま
この舟が 酒田港に 着くまではわたしはあなたの こころ妻紅花とかした 恋化粧エンヤコラマカセの 舟歌に捨てて涙の 最上川 最上川 少しでも 長く一緒に いたいから汽車には乗らずに 川下りあの山向うは 情け宿エンヤコラマカセの 舟歌にせめて濡らすな 別れ風
青い波止場に 汽笛も高く船が近づきゃ 雪さえとける冬の長さを 堪えた胸に熱いなさけの 土産を抱いてあなたが帰る 春がくる港町 噂夜風に ふるえた鴎今日は羽搏く 明るく歌う橋のたもとに あの白壁に残る私の 涙を消してあなたが帰る 春がくる港町 あなた好みの 絣を着れば海にまたたく 星まで燃えるそっと秘めてた 思いの花をみんな一度に 咲かせてみたいあなたが帰る 春がくる港町
こんなボロ船を 形見に残すからあとを継ぐ俺が 苦労するんだと親父怨んだ 日もあるがいまじゃしんから 海のとりこさ流氷くるまで 三月(みつき)が勝負ああ オホーツク 流れ唄 海という奴は 気まぐれ者だよな時化て暴れてよ 凪いでまた笑う女ごころに 似ているぜにくい可愛い 君の面影夕陽に包んで 波間にすててああ オホーツク 流れ唄 ゴムの手袋を しぶきが突き抜ける秋のオホーツクに 楽な日はないぜ網を巻くのも
船が出る日は 指までやせる「可哀想に」と かもめが啼いたいいえ 心は いつでも一緒港はるかに 網ひく人と共に船唄 うたうのさ 時化(しけ)が続けば 噂も絶える「忘れちまえ」と 男が誘ういいえ 便りが なくてもいいの胸に残った 温もり抱いて恋の船唄 うたうのさ 北の波止場で ただ待つ暮し「馬鹿な女」と 霧笛が笑ういいえ 馬鹿ほど 一途になれる好きなお酒の 陰膳(かげぜん)すえておんな船唄 うたうのさ
女にしとくにゃ 勿体ないと人の噂も 雨、あられ私はカルメン 港のカルメン赤いパラソル くるくるまわしカモを探しに きたけれどカモは来ないで 来るのは鴎と あほうどり 目立ちたがり屋で 度胸もあって生まれついての 派手好み私はカルメン 出戻り女花の都へ 行ってはみたが好いたお方(ひと)は 皆女房持ちいやな男の 情けの深さに 泣かされた ほんとはとっても 内気な女なのに見掛けで 損をする私はカルメン 純情
おはよう あなた 舷之介あたいの命を 半分あげてもっと生きてて 欲しかった男 荒波舷之介あなたの形見の ギターをひけば夜明けの海の 向うからきこえてくるの あの日の歌があたいを泣かせた 別れの歌が 呼んでよ あなた 舷之介鎖を放して 出てきんしゃいといつもあたいを 笑ってた男 荒波舷之介あなたを愛せる 独身(ひとり)になってたずねた北の 港町もう遅いのね わかっていても聞こえてくるのは 潮鳴りばかり
どんとしぶきが 噛みつく舳先(へさき)夢に浮かれりゃ ふり落とされる捨てろ捨てろよ 女の未練情け無用の 千島の海は根性一本 根性一本 エトソーリャ命綱 前は海 サヨー 後は山で小松原トエ アレワ エト ソーリャ大漁だエ 港 塩釜 鴎の酒場惚れたはれたは 一晩かぎり捨てろ捨てろよ しょっぱい涙網を引く指 かためた拳胸のしこりを 胸のしこりを エトソーリャ叩き出せ 海の稼ぎに 遠慮はいらぬ百も合点 二百も承
怒濤逆巻(さかま)く 北の洋(うみ)今日も出てゆく 沖底船(おきそこせん)船殻(がら)は100トン そこそこなれど北海トロール 俺らの命 修羅場さながら かけ廻り意地と度胸の 大勝負(おおしょうぶ)獲物逃(にが)さぬ 手応えたしか海が育てる 俺らの魂(こころ) 酒と盃 酌み交し唄は十八番(おはこ)の 男節笑う宴(うたげ)に 朝日が映える親子三代 俺らの誇り 舳先(へさき)向けるは 知人岬(しりとざき)空
紅を落として 涙を捨てて揺れる船縁(ふなべり) 身を寄せる恋はうたかた 夢はまぼろしこれでいいのと 唇噛んでまかせた船は 北廻り舞鶴みなとが 遠ざかる 髪のほつれを つくろう指にしみる潮の香 恋路浜男うつり気 女ひとすじ恨み残せば みじめなだけねいのちをかけた 人だもの越後の岬に 日が落ちる 夜が明けたら 和服(きもの)を着替え強いおんなに 戻りたい海の豊かさ 風の優しさここがわたしの ゆりかごなのとし
北浜おんなにゃ 化粧はいらぬ銀のうろこで 肌ひかるべんちゃら言われて 嫁こにきたが漁に出たなら 三月(みつき)はおろか長けりゃ ふた冬 待つ苦労それでも嬉しい 漁師の女房 膝っこかかえて ため息ついて他人(ひと)にゃこの態(ざま) 見せられぬ男の生き甲斐 海原千里(うなばらせんり)女の支えは 泣かせる情けひとりじゃ蒲団が ひろすぎるそれでも嬉しい 漁師の女房 無線で届いた 大漁の知らせ強いつもりが つい