好きで添えないこの世の恋の運命の辛さに貴方を責める嘘で書いた宿帳の妻と言う字のその上に落ちる涙が 止まらないふたりぼっちの夢情の宿よ ゆかたを羽織る貴方の背中切ない思いのやり場のなさに少しやつれて目に映る思い過ごしか気のせいか足手まといになるのならこれが最後の夢情の宿よ 季節はずれの吹雪の音がすすり泣くよに心にからむお酒の力で切り出した別れ話を聞き流し何も言うなと抱き寄せる恋の止まり木夢情の宿よ
戻りを待って 三十路を越えた女は京の 橋の上なのに男は 他国の空で妻をむかえて いるとゆうつらい噂が 噂ばかりがああ 戻り橋 なみだ橋 まぼろしだけの 逢瀬を待って若草山も 枯れる頃両手かざして 堀川通り避ける北風 身にしみて守りつづけた 愛の誓いもああ くずれ橋
生きてく勇気が ふたりにあれば手探り人生 ねえ いいじゃない貧乏 貧乏ぐらしは なれっこだからあんたのその手のぬくもりだけで日陰の小さな つぼみでも明日に咲きます 夢桜 あんたでなくては 出来ないことがきっとあります ねえ わかるのよくやし くやし涙で かくれた夢も心にともした 命灯ひとつ杖に歩けば
女が口紅 ひくときはみれんに区切りをつけるとき道頓堀の 花に群る遊蝶たちとの 人情芝居顔で負けても 色で勝つ 女が黒髪 切るときは涙と一線 画すとき宗右衛門町の 昔泣かせた痛みも忘れた あいつの前を笑い顔して 歩きたい 女が着物を 着るときはときめく相手に出逢うとき堂島川の 橋を渡ればお初徳兵衛の 悲恋の歌がいまもきこえる おぼろ月
あなたの愛から旅発つ午後は朝から無口な 九官鳥(きゅうかんちょう)おしゃべり上手な鳥だけど別れの気配も 分るのね さよなら言わずに出て行くわあなたも黙って見送って何にも罪などない鳥を泣かせるなんて罪つくり二人の愛の九官鳥 いつでも二人の口真似しては笑いを誘った 九官鳥これからあなたと何方かのしあわせ見つめて暮すのね やさしく叱って直させて私の名前を呼ぶくせを悪気はなくてもその方に悲しい想いさせるから終っ