女狐恋物語 – 加藤伎乃

刻は黎明 艶姿の
女一人 乱れ姿
月光に照らされた 君はまるで
天から降りて来た天つ乙女

刻は黎明 寝乱れ髪を
一つに結っては口付け交わし
夜の静寂に水の音響き
君はまるで淡月の様だ

春告げ鳥が鳴いている
逢引明け暮れしどけない
汗みずくで交わりあって
朝ぼらけ

カリソメの恋ならば
きっと今日で終わりだろう
しかし一目お見かけした時から
慕っておりました

春過ぎて桜も散って
うたかたな淡い恋も散った
暗れ惑う気持ちに疲れ果てて
当て所ない気持ちをぶつけた

あらずもがなの終わりの言葉
知りたくもない気持ちを知った
言い知れぬ寂しさを覚え
水面に映る月の輪を眺めてた

涼風当たり流されて
川に映る泣き顔ながめ
いつの間にか夜が深けて
深々と

カリソメの恋模様
狐に化かされた様
鈴の音が姦しい
私は君に懸想しておりました

黄昏時 夢うつつ
物思いに耽る夜
赤い月に暇乞い
さようならと告げる夜

君の影がほのめく
艶姿の天つ乙女…

数常しえの愛ならば
追憶から引っ張り出そう
私が君に恋した問わず語りのこの曲
これにて終結