ソフィア発 – 久保田早紀

季節風を追いかけてみたい
トランクひとつ持たずに西へ行く

月夜を滑るように
走り続けて
旅人の哀しみを
乗せたバルカン
窓に息を吹きかけて
行き過ぎた男(ひと)の名前書けば
愛の次はウソと言う名の駅で
降ろされてばかり
だから 飛び乗ったの
女がたまには一人で
旅に出てもいいじゃない
国境線にけむる霧が流れ出して
想い出を くもらせた

安いワインで夢を
飲みほした晩は
冷たいシートも羽の
ソファに変わる
忘れてしまいたいのに
ひとりで居る理由(わけ) 探している
男達はサヨナラを使い捨て
次の恋を待つ
だから飛び乗ったの
女がたまには一人で
旅に出てもいいじゃない
ソフィアからリヨンまで
三日目の朝には
ほほえみを取りもどす