anemone – 上田麗奈

朝靄の中、街は目を覚まして夜を塗り替えていく
わたしを試すみたいに冷たい風が背中を叩くの
踏み出さなきゃ何も変わらないんだよ、って

どこかに失くした片っぽのイヤリング
捨てられなくて まだ引き出しの奥でドリーミング
そんな風にわたしも欠けた心
大事に温めて仕舞ってきたけど

瞬き零れる
溜息の花たちも
手放せたら

どこにだって見つかるよ わたしだけの場所が
特別な準備はいらないよ 全部おいていく

(近付く) 一歩ずつ
(昨日に) さよなら告げる
(身体を) そのビートで
(揺らす) 世界は変わるよ

足りないものばかりが目に映って
崩れたバランスで前を向いて
(いつも) 誰かと比べたりしては焦って
何かを忘れてしまっていた

(きっと) いつの間にか慣れた
この街の乾いた風が心地よく触れた

いつか暗い夜に見失ったとしても
これまでに零れた欠片が道標になる

改札を抜け
風に膨らむ髪を直して
歩き出す

(高鳴る) まあ いいかな
(明日に) こんな気分も
(近付く) 踵を鳴らして
(空へ) 届くように 背を伸ばして

どこにだって見つけるよ わたしだけの場所を
特別な合図はいらない
(いつも通り) 呼吸乱さず前を向いて

(近付く) 一歩ずつ
(昨日に) さよなら告げる
(身体を) そのビートで
(揺らす) 世界は変わるよ