いつか聞かせてくれた昔話今も憶えてるやさしい声 たくさんのキスと二人きりの世界が全てだったねえ 気がついていたの私を見なくなっていく瞳どんなに叫びたくても唇を結んでは 飲み込む言葉こんなに降り積もっては心を覆い尽くそうとするけれど精いっぱい笑顔でいるよだから いかないで今はもう聞こえない子守唄をひとり口ずさむあたたかくて ささやかな記憶それだけあれば何もいらなかったねえ 手をつないでいて私が私でい
あなたは花の香がした白い部屋 その中で奏でる子守唄はあまく 空気にほどけてゆく手をつなぎ ふたり旅した日々横顔を 見上げながら歩いたそれももう おぼろげな輪郭私があなたにできることは何問う声はなぜか喉の奥に今も残り続けているあなたは花の香りがしたゆっくりと 曖昧に微笑むその気配はあまく 空気にほどけてゆくやさしくて ひえた手のひらへとぬくもりを伝えたくて ずっとただ強く 握りしめていた去りゆくあな
冷たい氷の木々たちが歌う森は触れた先から はらはらと崩れていく繊細な音 まるで雪のよう胸の中満たすのは 柔らかな雨の音広がる波紋のように意識を溶かして静かな静かな渦に身を任せたらあなたのかすかな声も聞こえるだろうか小さく震える 透明なその心に触れた先から 耳の奥そっと届くささやかな声 まるで雪のよう穏やかな沈黙に ただ耳を傾けたちらちら瞬く星の吐息の音さえ遠くへ遠くへ響く空の真下であなたの声なき声