旅の落葉が しぐれに濡れて流れ果てない ギター弾きのぞみも夢も はかなく消えて唄もなみだの 渡り鳥酒にやつれて 未練にやせて男流れの ギター弾きあの日も君も かえらぬものを呼ぶな他国の 夜のかぜ暗い裏町 酒場の隅がせめてねぐらの ギター弾き灯かげもさみし 螢光燈のかげにしみじみ 独り泣く
牡丹の様なお嬢さんシッポ出すぜと浜松屋二の腕かけた彫物の桜にからむ緋縮緬しらざァいって 聞かせやしょうオット俺らァ 弁天小僧菊之助以前を言ゃあ江の島で年期づとめのお稚児さんくすねる銭もだんだんにとうとう島をおわれ鳥噂に高い 白波のオット俺らァ 五人男のきれはしさ着なれた花の振袖で髪も島田に由比ヶ浜だまして取った百両も男とばれちゃ仕方がねえつき出しなせえ どこへなとオットどっこい サラシは一本切って
並木の雨のトレモロをテラスの椅子でききながら銀座むすめよ なに想う洩らす吐息に うるむ青い灯(ひ)しのび泣く 恋に泣く東京の人夜霧の日比谷ゆく人も隅田の流れ見る人も恋に身を灼く シルエット君は新宿 僕は浅草しのび泣く 恋に泣く東京の人都のすがた 店々は変れどつきぬ恋の唄月の渋谷よ 池袋花は今日咲き 明日(あす)もかおるよしのび泣く 恋に泣く東京の人
いつも貴女が つけていた口紅いろの 赤い灯が挽歌の街に 滲む頃霧笛の音も 泣くような釧路の駅でさようならあぁ さようならなみださしぐみ 振り返るアカシア並木 花がちるいつまた逢える 君なのか手と手をかたく 握りしめ釧路の駅でさようならあぁ さようならさらば無事でと 身を寄せる二人をはなす 夜の汽車いのちの炎 燃やしつつ海ある町よ
さよならも 言えず 泣いている私の踊子よ ……ああ 船が出る天城峠で 会(お)うた日は絵のように あでやかな袖が雨に 濡れていた赤い袖に 白い雨……月のきれいな 伊豆の宿紅いろの 灯(ともしび)にかざす扇 舞いすがた細い指の なつかしさ……さよならも 言えず 泣いている私の踊子よ ……ああ 船が出る下田街道 海を見て目をあげた 前髪の小さな櫛も 忘られぬ伊豆の旅よ さようなら……
甘く酸っぱく 東京の夢がむせびくる様な 呼ぶ様な花の唇 酒場のあの娘唄も身に沁む ああ ダムの町パワー・ショベルがハッパの音が明けりゃ谷間に せき立てるダムの町だよ 男の町だなんで東京が ああ 恋しかろ山の夜霧にゃ 星さえうるむみんな忘れて 来たものを捨てた背広に 未練はないが胸の古傷 ああ
花のネオンも消えて 深い夜霧が街角を濡らす頃 残ってともるやさしい街燈 おまえは知っているつきせぬ つきせぬ ささやきを並木通りの人も 絶えて淋しくそぞろ身に沁む風に 泣き泣き一人仰ぎ見る街燈 おまえは知っているわたしの わたしの かなしみも誰の泪を秘めて 落ちているのかいとし紅バラ一ッ 母の眼のように見まもる街燈 おまえは知っているみんなの
星のない夜は しみじみ哀しまして他国の 山河越えて風に追われる さすらい暮らしめぐり逢う日が あるじゃなしいつか頼りの 絃さえ切れて唄も泪の ながれのギターどこか似ている あの娘も泣いてきいてくれるか なつかしや肩も抱きたい 語りもしたいどうせ一夜の 夢ならさめるわかれ別れて 旅ゆく身なら責めてくれるな 忘れても
郵便船が来たとヨー 来たとヨー沖で鳴る鳴る 合図の汽笛ポーポーポーとね 呼んでるぜ遠い都の あの娘の便り乗せて来たやら 気にかかる郵便船が着いたとヨー 着いたとヨー島の小さな あの桟橋にポーポーポーとね 入ったぜ月に一度の うれしい便り忘れないでと 書いてある郵便船が帰るとヨー 帰るとヨーランプ灯して 纜といてポーポーポーとね 出て行くぜ返事届けよ
雲が流れる 丘の上花の乱れる 草むらにともに植える ひと本の ひと本の若き希望と 夢の苗空に伸びろ 青年の樹よ嵐すさぶ 日もあらむ憂に暗い 夜もなお腕くみ合せ 立ちゆかん 立ちゆかん熱き心と 意気地持て森に育て 青年の樹よ多感の友よ 思わずや祖国の姿 いま如何に明日の夜明けを 告げるもの 告げるもの我らをおきて 誰かある国を興せ 青年の樹よ
雨、雨の夜は浮世はぐれた 旅寝の鳥もまねく谷間の 灯りにほろり何故か涙が 何故か涙が 流れてならぬ旅、旅の身は抱いたギターの 音色もしめる何の弱気か 思わずほろり捨てた故郷が 捨てた故郷が 恋しゅうてならぬ夢、夢浅く覚めて聞いてる しとしと雨に春のみじかよ ひとりでほろり町で見た娘が 町で見た娘が 愛しゅうてならぬ
あの山越えりゃ ナホトカあたり今日も埠頭(バンド)にゃ マストの日章旗(はた)を嬉し涙で 見上げる友がぽっと浮かんだ ぽっと浮かんだ あかね雲窓にもたれて あの娘の唄をそっと歌えば 名知らぬ星が命淋しく 流れて消えた宵のスーチャン 宵のスーチャン 街外れ吹雪くスーチャン 冷たい夜はペチカ囲んで 想い出話泣いて笑って 心がとけりゃ結ぶ今宵の 結ぶ今宵の 夢楽し
荒(すさ)ぶ嵐のシベリア山河越えて今日来たこの港嬉し涙に瞼をとじりゃ浮ぶ希望の帰還船 帰還船窓に小雪のつめたい朝も七つ北斗の冴えた夜(よ)もなぜか気になるバンドのあたりとけろ港よサフガワニ サフガワニああこの日まで忍んで耐えてともに眺めるこの港鳴れよ響けよ帰還のドラよあすの日本が我等待つ 我等待つ
汽笛わびしく 黄昏の水面をゆすり 汽車は去りゆく想いでの 湖畔の駅よひとり尋ねし 悲しい群れにシグナルは シグナルは青い涙か せつなく光る岸のボートよ 忘られぬホテルの窓よ 瞳やさしく寄り添いし あの日の君よ暗いホームに 帰らぬ夢をやるせなく やるせなく追えば夜霧が ソフトを濡らすいっそこのまま とまらずにさよならしよか つらい悲しい想いでの 湖畔の駅よ更けて淋しい 待合室の白樺の 白樺の古いベン