持って生まれた 運命(さだめ)まで変えることなど 出来ないと肩に置いた手 ふりきるように俺の背中に まわって泣いたあれは… おゆきという女少しおくれて 歩く癖(くせ)それを叱(しか)って 抱きよせたつづく坂道 陽(ひ)の射(さ)す場所に連れて行(ゆ)きたい このままそっとあれは… おゆきという女湯気に浮かんだ 茶柱(ちゃばしら)で明日(あす)を占(うらな)う 細い指どこか不幸が とりつきやすいそん
どこかに故郷の 香りをのせて入る列車の なつかしさ上野は俺らの 心の駅だくじけちゃならない 人生があの日ここから 始まった『父ちゃん 僕がいなくなったんで母ちゃんの畑仕事も大変だろうなあ、今度の休みには必ずかえるから、そのときは父ちゃんの肩も母ちゃんの肩も、もういやだっていうまでたたいてやるぞ、それまで元気で待っててくれよな』就職列車に ゆられて着いた遠いあの夜を 思い出す上野は俺らの 心の駅だ配
海をへだてた 二つのこころ思い通わす たより船いとしあの娘も みかんの木かげ待っているだろ小島通いの 小島通いの郵便船ロマンチックな 灯台岬いつか曲がって もう見えぬやがてあの娘の 憧れのせて帰りくるだろ小島通いの 小島通いの郵便船汽笛ひと声 波止場に残し今日も出てゆく あの船は昨日ポストに 落した手紙持っていくだろ小島通いの 小島通いの郵便船
花の東京の どまン中ぐるり廻るは 山手線皇居丸ビル 右に見てとんと一(ひと)駅 下(くだ)りますそこが初恋 有楽町いつもあの娘(こ)と 逢(あ)った町ところが世間 ままならず別れ別れの 西東どこであの娘は ああ 泣いてやら水の都の 大阪は僕にゃあんまり 広すぎて昨日(きのう)ミナミに 今日キタへ足も重たく なりまする一つ噂(うわさ)を 追いかけりゃいやになります さみしさで涙が泳ぐ この胸はいつに
男一途の 火の恋を何んで涙で けされよう未練ばかりが ただつのる夜の暗さを はしご酒浴びておぼれて なお酔えぬ酒のにがさを かみしめる露地の屋台の 灯にさえも男心が 泣ける夜涙ぐんでた あの顔になんで嘘など あるもんか噂なんだぜ 噂だと胸にきかせる はしご酒
船を見つめていたハマのキャバレーにいた風の噂はリル上海帰りのリル リルあまい切ない 思い出だけを胸にたぐって 探して歩くリル リル どこにいるのかリルだれかリルを 知らないか黒いドレスをみた泣いていたのを見た戻れこの手にリル上海帰りのリル リル夢の四馬路(スマロ)の 霧降る中でなにもいわずに 別れたひとみリル リル 一人さまようリルだれかリルを 知らないか海を渡ってきたひとりぼっちできたのぞみすて
雨の外苑 夜霧の日比谷今もこの目に やさしく浮かぶ君はどうして いるだろかああ 東京の灯よ いつまでもすぐに忘れる 昨日(きのう)もあろうあすを夢みる 昨日もあろう若いこころの アルバムにああ 東京の灯よ いつまでも花の唇 涙の笑顔淡(あわ)い別れに ことさら泣けたいとし羽田の あのロビーああ 東京の灯よ いつまでも
青い背広で 心も軽く街へあの娘(こ)と 行こうじゃないか紅(あか)い椿で ひとみも濡れる若い僕らの 生命の春よお茶を飲んでも ニュースを見ても純なあの娘は フランス人形夢を見るよな 泣きたいような長いまつげの 可愛い乙女今夜言おうか 打ち明けようかいっそこのまま 諦(あきら)めましょか甘い夜風が トロリと吹(ふ)いて月も青春 泣きたい心駅で別れて ひとりになってあとは僕等の 自由な天地涙ぐみつつ 
花摘(つ)む野辺(のべ)に 日は落ちてみんなで肩を くみながら唄をうたった 帰りみち幼馴染(おさななじみ)の あの友この友ああ 誰か故郷を 想わざるひとりの姉が 嫁(とつ)ぐ夜に小川の岸で さみしさに泣いた涙の なつかしさ幼馴染の あの山この川ああ 誰か故郷を 想わざる都(みやこ)に雨の 降る夜は涙に胸も しめりがちとおく呼ぶのは 誰の声幼馴染の あの夢この夢ああ 誰か故郷を 想わざる
なんでこんなに 可愛いのかよ孫という名の 宝ものじいちゃんあんたに そっくりだよと人に言われりゃ 嬉しくなって下がる目じりが 下がる目じりが えびす顔もみじみたいな 小さな手でもいまにつかむよ 幸せを仕事いちずで 果たせなかった親の役割 代わりの孫に今は返して 今は返して いるところつよく育てよ おお空泳ぐ五月節句の 鯉のよに親の背よりも 大きくなって一人立ちする 二十才が来たら祝い言葉を 祝い言
水にきらめく かがり火は誰に想いを 燃やすやらあなた あなたやさしい 旅の人逢(お)うたひと夜の 情けを乗せてこころまかせの 鵜(う)飼い舟好きと言われた 嬉しさに酔うて私は 燃えたのよあなた あなたすがって みたい人肌を寄せても 明日(あした)は別れ窓に夜明けの 風が泣く添えぬさだめと 知りながらいまは他人じゃ ない二人あなた あなた私を 泣かす人枕淋(さみ)しや 鵜飼いの宿は朝が白々(しらじら
悪い人だと 判っていても愛してしまえば 女は弱いひとり酒場は 冬の雨一輪飾った すいせんの花より淋しい 私の胸に想い出下さい 虹色の煙草くゆらせ ほほづえついて今頃あなたは 飲んでる頃ねふたつ並んだ 止まり木はなじみのお店の 指定席忘れてしまった 女の夢をも一度下さい 虹色のうしろ向いたら この俺がいる優しいあなたの 言葉に泣いた今日は寒いわ 東京も離れて暮らせば 気にかかる私に小さな 灯りを点す
ビルの谷間の 人の波何処へ流れて 行くのやらうしろ姿の しあわせばかりああ あのひとはもう逢うことも ないひとか変わる信号(シグナル) 東京ワルツ酒のグラスは 過ぎし日を写す硝子か 夜鏡か古い酒場も 夜霧のようにああ 紫の煙草(けむり)にしずむ 街の底恋よさよなら 東京ワルツビルの彼方に 陽は昇り今日を教える 街の空歩くしかない 俺たちだものああ ただ祈るしあわせあれと あのひとに夢の花咲く 東京
こんな淋しい 田舎の村で若い心を 燃やしてきたに可愛いあの娘は 俺らを見捨てて都へ行っちゃったリンゴ畑の お月さん今晩は噂をきいたら 教えておくれよなあ憎い女と 恨んでみたが忘れられない 心のよわさいとしあの娘は どこにいるやら逢いたくなっちゃったリンゴ畑の お月さん今晩は噂を聞いたら 教えておくれよなあ祭りばやしを 二人できいて語りあかした あの夜が恋しあの娘想えば 俺(おら)も何んだか泣きたく
思い出したんだとさ逢いたく なったんだとさいくらすれても 女はおんな男心にゃ 分るもんかと沖の煙を 見ながらああ あの娘が泣いてる 波止場呼んでみたんだとさ淋しく なったんだとさどうせカーゴの マドロスさんは一夜どまりの 旅の鴎と遠い汽笛を しょんぼりああ あの娘は聞いてる 波止場なみだ捨てたんだとさ待つ気に なったんだとさ海の鳥でも 月夜にゃきっと飛んでくるだろ 夢ではろばろそれを頼りに いつま
波の背の背に 揺られて揺れて月の潮路の かえり船霞む故国よ 小島の沖じゃ夢もわびしく よみがえる捨てた未練が 未練となって今も昔の せつなさよ瞼(まぶた)あわせりゃ 瞼ににじむ霧の波止場の 銅羅(ドラ)の音熱いなみだも 故国に着けばうれし涙と 変るだろう鴎ゆくなら 男のこころせめてあの娘(こ)に つたえてよ
夕焼け空が まっかっかとんびがくるりと 輪をかいたホーイノホイそこから東京が 見えるかい見えたらここまで 降(お)りて来な火傷(やけど)をせぬうち早ッコヨ ホーイホイ上(のぼ)りの汽車が ピーポッポとんびもつられて 笛吹いたホーイノホイ兄(あん)ちゃんはどうして いるんだいちょっぴり教えて くんないか油揚一丁進上ヨ ホーイホイ一番星が チーカチカとんびはいじ悪 知らぬ顔ホーイノホイ祭りにゃ かなら
そんなに泣きたきゃ 泣くだけお泣きあとで笑顔に 変るなら変るなら俺とお前にゃこれが別れだ 最後の夜だ あ……やがて霧笛の 鳴る夜だそんなに行きたきゃ 行こうじゃないかいつも歩いた 波止場道波止場道俺とお前にゃこれが別れだ 愛しい道だ あ……きょうは出船の 待つ道だそんなに呑みたきゃ たんまりお呑み呑めば辛さも まぎれようまぎれよう俺とお前にゃこれが別れだ 淋しい酒だ あ……あかの他人に なる酒だ
逢(あ)いたい気持が ままならぬ北国の街は つめたく遠い粉雪まいちる 小樽(おたる)の駅にああ ひとり残して 来たけれど忘れはしない 愛する人よ二人で歩いた 塩谷(しおや)の浜辺偲(しの)べば懐(なつ)かし 古代の文字よ悲しい別れを ふたりで泣いたああ 白い小指の つめたさがこの手の中に いまでも残る小樽は寒かろ 東京もこんなにしばれる 星空だから語り明かした 吹雪の夜(よる)をああ 思い出してる
京都にいるときゃ 忍(しのぶ)と呼ばれたの神戸じゃ渚(なぎさ)と 名乗ったの横浜(はま)の酒場に 戻ったその日からあなたがさがして くれるの待つわ昔の名前で 出ています忘れたことなど 一度もなかったわいろんな男を 知るたびにいつもこの胸 かすめる面影(おもかげ)のあなたを信じて ここまできたわ昔の名前で 出ていますあなたの似顔を ボトルに書きましたひろみの命と 書きました流れ女の さいごの止まり木
あなたのために 守り通した女の操(みさお)今さら他人(ひと)に ささげられないわあなたの決してお邪魔(じゃま)は しないからおそばに置いてほしいのよお別れするより死にたいわ 女だからあなたの匂(にお)い 肌に沁(し)みつく女の操すてられたあと 暮らして行(ゆ)けない私(わたし)に悪いところが あるのなら教えてきっと直すから恨(うら)みはしませんこの恋を 女だからあなたにだけは 分るはずなの女の操汚
春には 柿の花が咲き秋には 柿の実が熟(う)れる柿の木坂は 駅まで三里思い出すなァ ふる里のョ乗合バスの 悲しい別れ春には 青いめじろ追い秋には 赤いとんぼとり柿の木坂で 遊んだ昔懐かしいなァ しみじみとョこころに返る 幼ない夢が春くりゃ 偲ぶ馬の市秋くりゃ 恋し村祭り柿の木坂の あの娘(こ)の家よ逢ってみたいなァ 今も尚ョ機織りながら 暮していてか
悲しさまぎらす この酒を誰が名付けた 夢追い酒とあなたなぜなぜ わたしを捨てたみんなあげて つくしたその果(は)てに夜の酒場で ひとり泣く死ぬまで一緒と 信じてたわたしバカです バカでしたあなたなぜなぜ わたしを捨てた指をからめ 眠った幸せを思いださせる 流し唄おまえと呼ばれた 気がしたの雨ににじんだ 酒場の小窓あなたなぜなぜ わたしを捨てたじんとお酒 心にもえさせて夢を追(お)いましょ もう一度
水の流れに 花びらをそっと浮かべて 泣いたひと忘れな草に かえらぬ初恋(こい)を想い出させる 信濃(しなの)の旅路(たび)よ明日(あす)はいずこか 浮き雲に煙りたなびく 浅間山呼べどはるかに 都は遠く秋の風立つ すすきの径(みち)よ一人たどれば 草笛の音(ね)いろ哀(かな)しき 千曲川(ちくまがわ)よせるさざ波 くれゆく岸に里の灯(ひ)ともる 信濃の旅路よ
いのち温(ぬく)めて 酔いながら酒をまわし飲む明日(あす)の稼ぎを 夢にみて腹にさらし巻く海の男にゃヨ 凍る波しぶき北の漁場(りょうば)はヨ 男の仕事場サ沖は魔物だ 吠えながら牙をむいてくる風にさらした 右腕の傷は守り札海の男にゃヨ 雪が巻いて飛ぶ北の漁場はヨ 男の遊び場サ銭のおもさを 数えても帰るあてはない二百海里を ぎりぎりに網をかけてゆく海の男にゃヨ 怒濤(なみ)が華になる北の漁場はヨ 男の
どうしているかい 泣いてはないか日暮れに柿の実 灯ともす頃か夢もはんぱな 男のままじゃ君も望んで いないはずごめんよナァ かんべんナァ今は帰れぬ 星影の里どうしているかい 泣いてはないか今でも馴染めぬ 都会の水に他人(ひと)にゃ見せれぬ 泥んこ道は耐えていてこそ 光るものごめんよナァ かんべんナァ呼べば切ない 星影の里どうしているかい 泣いてはないか少しの辛抱 待ってておくれ冬にまたたく 一番星に
ひとりたたずむ 天主堂面影せつなく また浮かぶ夜空に向かって ごめんと言えば詫びる心に 雨が降る無事でいるのか 天草みれん花の唇 片えくぼ天草五橋(あまくさごきょう)の 灯がにじむあきらめきれずに 名前を呼べば潮風(かぜ)が冷たく 吹き抜ける抱いてやりたい 天草みれんどこか似ている うしろ影思わず後追う 本渡町(ほんどまち)夜空の向こうの どの島あたり今度会えたら 離さない泣いていないか 天草みれ