ていねいな暮らし 細やかな装丁手に取るほかないじゃない 一つ一つ めくるページには向かうところがあるものよ 然るべき 別れなのだ残された黄昏をあげる
翼が生えたぼくたちの形見の羽根さえ遥か彼方 気づかぬうちに年老いて濁った眼では見えそうもない いつかのピーターパン追いかけてみたら鳥のように また 小さなタンク機関車の車輪がくれる花びらの薫りは手まねきしているぼくたちをセピアに塗って映しだす あの丘の頂上で 見渡せばなくした魔法 取り戻して君の笑顔も 天然色で 甦る 記憶のコラージュの波にさらわれて歪んで 元に戻って いつもの道を また 歩くよ 欅並木に涙が伝
素晴らしい夜に 止めどない拍手を 露を乗せた葉っぱがはね返すひかり雲間から月が顔を出した 同じ釜の飯を食うでもなく過ごしてきた人と同じものをうまいと言える うそかまことかわからない 大口を叩いて笑う湿り気さえも心地よく 夢でも見てるみたい 騒がしい会話をものともせず鼻の穴を闊歩する焦げた幸せの匂いだよ 風が擦れる音も 全部覚えてたいな うそもまことも交わって きょう懐古の種を蒔いた褪せた思い出も それはそれで
時代と時代のちょうど隙間で 新しい夢ができました 長い梅雨の入り口 ちょうど手前辺りでなんだかよくわからなくなったようだ 様変わりした僕らの庭でひとりきり行方もなく歩くのさえ 悪いことしてるみたいだった 時代と時代のちょうど隙間で 新しい夢ができましたつぎの時代が僕らを乗せて 回り始めてもあなたの前で 歌えますように愛しい歌を
波の向こう 蹴り上げて跳んだ君とゆこう この眼で見たいよ 昨夜見た映画を もう一度見ていた忘れてしまったまままた裸足の夏を迎える 先を急ぐ 彼には見えない僕とゆこう しなやかに ムーンライト 追い風が誘う スピード上がってく見慣れた君の 新しい横顔ありふれたプライベート・エアポートからはまだ想像もできない 距離をゆく 星が見えれば 僕らは進める分厚い雲が 割れる夜を待つ 電話越しの声と白んだ世界よ触れてはい
逃避行の先で死ぬまで生きようか 想定外の事態に狼狽えたり仄暗い帰路でつまづいて すり傷を作ったり 小さな失敗でも 時と場合によれば逆らえないほど 重くのしかかるけれど とびきり速いスピードで逃げ出しておいでよ切れた電球そのままにしてどこへ向かう 動揺してる ただの一問一答余計なこと考えれば すぐ見失って ああ なぐさめの言葉 あなたから聞きたいの求めてみるのも 何か違うんだよなあ 期待で空回っていく すれ違い
積み上げた空の箱に ため息をひとつついて変わらない僕を愛す人をよそ目に泣いたのだ 季節外れの寝具 徐ろに横たわれば少しの間は何の姿にもなれないな 午前一時に見始めた懐かしい映像ゆえか 微熱をさますように あなたを感じて堪えられない夜にはぐれた涙の辿る先を追い見つけた部屋にいたい 故郷から遠ざかる 誰ひとり気付かれぬよう虚な目でささやくのさ昨日の辞書にはなかった言葉 弛むロープの端を ふたりで結ぼう二度と解け
屋根を打つ 止まらない豪雨愛の鼓動 流し去るように白く乱れゆく か細い滝が濁した小さな庭をただ眺めてる遠くで鳴るサイレン 濡れて滲んだ足跡を辿る ミラージュ確かなことは 永遠がないことくらいさ窓の向こう 乾いていたはずよ手遅れのシャツ 屋根を打つ 止まらない豪雨愛の鼓動 流し去るように白く乱れゆく か細い滝が濁した小さな庭をただ眺めてる遠くで鳴るサイレン 愛想笑いもなくなる頃に 気付いては馴れた手つきで
息をするのもやっとで わるい目覚めを迎えた今日も変わらず微笑む 君を見上げて 目を瞑った 2023 くだらない会話もまた尊いものとわかる日が来れば新しい部屋で始まった暮らしにも随分 慣れた頃だろう 破れたフィルムの中で おどける君がいた曖昧な記憶の中で見つけた 光のはなし ふくらんだ白いレース おどる風をつかまえて響くたおやかな声に 片目瞑って 宙を縫った 時は来る 沈む夜なら悲しみにくれてやれ微睡んだ朝方