ねぶた終れば 秋がきてやがて木枯らし 雪が舞う指の先から 血がにじむ三味線(しゃみ)は名ばかり まだ道半ばうなる はじける 凍りつく男じょんがら ひとり旅意地じゃ弾けない 太棹は熱い命の バチで弾く風の下北 後にして行くはわが道 いばら道先は地吹雪 山嵐北のじょんがら ひとり旅通りすがりに 受けた恩三味線でひと節 恩返し腹が減ったら 雪を喰いゆるむ かんじき また締め直す叩く 揺さぶる 突き刺さる
あなた私を捨てますかついて来いよと 云えますか好きで添えない この運命誰が邪魔する 引き離す傘はこの手で たためてもあぁ 未練たためぬ 来し方の宿ひとり焦がれる 切なさをせめて隠して 湯のけむり情けあるなら そばに来て淋しすぎます ひとりでは浮世うたかた かずら橋あぁ 心乱れる 来し方の宿仕掛け花火で 夏が往き秋と一緒に 冬がくるあなた思えば この胸が日毎夜毎に やせていく帯はひとりで 結べてもあ
生まれたときから わたしにはいつも歌があったわ今日までわたしを強くささえてくれた歌が……時にはこの世の北風に凍えながらそれでもくじけず歌ってきたわ心がのぞむままに歌は、わたしの人生わたしの生きる道この命つづくかぎりわたしは歌いつづける泥んこ道でも かまわないそこに歌があるなら涙にまけずに歌う明日に愛をこめて……歌はわたしの祈り魂の熱い叫びひたすらに歌の道をわたしは歩きつづける歌は、わたしの人生わた
軒下三寸 借りうけまして申し上げます おっ母さんたった一言 忠太郎と呼んでくだせぇ 呼んでくだせぇ たのみやす「おかみさん、今何とか言いなすったね親子の名のりが したかったら堅気の姿で尋ねて来いと言いなすったが笑わしちゃいけねぇぜ 親にはぐれた子雀がぐれたを叱るは 無理な話しよ愚痴じゃねぇ 未練じゃねぇおかみさん 俺の言うことを よく聞きなせぇ尋ね 尋ねた母親に 倅と呼んで もらえぬようなこんなや
飲めと言われて 素直に飲んだ肩を抱かれて その気になった馬鹿な出逢いが 利口に化けてよせばいいのに 一目惚れ浪花節だよ 女の女の人生は嘘は誰れかが 教えてくれる恋も誰れかが 見つけてくれるそんな誰れかに 振り廻されて消えた女が またひとり浪花節だよ 女の女の人生は咲いて萎んで 捨てられました逢って別れて 諦めました人の情けに つかまりながら折れた情けの 枝で死ぬ浪花節だよ 女の女の人生は
くもりガラスを 手で拭いてあなた明日が 見えますか愛しても愛しても あゝ他人(ひと)の妻赤く咲いても 冬の花咲いてさぴしい さざんかの宿ぬいた指輪の 罪のあとかんでください 思いきり燃えたって燃えたって あゝ他人の妻運命かなしい 冬の花明日はいらない さざんかの宿せめて朝まで 腕の中夢を見させて くれますかつくしてもつくしても あゝ他人の妻ふたり咲いても 冬の花春はいつくるさ さざんかの宿
あの窓も この窓も 灯がともり暖かな しあわせが 見える一つずつ 積み上げた つもりでもいつだって すれ違う 二人こんな つらい恋口に出したら 嘘になる帰りたい 帰れない ここは無言坂帰りたい 帰れない ひとり日暮坂あの町も この町も 雨模様どこへ行く はぐれ犬 ひとり慰めも 言い訳も いらないわ答えなら すぐにでも 出せるこんな つらい恋口を閉ざして 貝になる許したい 許せない ここは無言坂許し
あなたの愛だけは 今度の愛だけは他の男(ひと)はちがうと 思っていたけど抱かれるその度に 背中が悲しくていつか切り出す 別れの言葉が恐くて心 凍らせて 愛を凍らせて今がどこへも 行かないように心 凍らせて 夢を凍らせて涙の終りに ならないように綺麗な愛じゃなく 子供の愛じゃなく生命すててもいいほど 慕(おも)っていたけどあなたのその胸は いつでも遠すぎてきっと理想の誰かを 宿して生きてる心 流され
母は来ました 今日も来たこの岸壁に 今日も来たとどかぬ願いと 知りながらもしやもしやに もしやもしやにひかされて「又引き揚げ船が帰って来たに、今度もあの子は帰らない…。この岸壁で待ってるわしの姿が見えんのか……。港の名前は舞鶴なのになぜ飛んで来てはくれぬのじゃ……。帰れないなら大きな声で…お願い…せめて、せめて一言……」呼んで下さい おがみますああ おっ母さん よく来たと海山千里と言うけれどなんで
雨 潸々(さんさん)と この身に落ちてわずかばかりの運の悪さを 恨んだりして人は哀しい 哀しいものですねそれでも過去達は 優しく睫毛に憩う人生って 不思議なものですね風 散々(さんざん)と この身に荒れて思いどおりにならない夢を 失くしたりして人はかよわい かよわいものですねそれでも未来達は 人待ち顔して微笑む人生って 嬉しいものですね愛 燦々(さんさん)と この身に降って心秘そかな嬉し涙を 流し
夜空つんざく 雷は北のあらくれ 「鰤(ぶり)起こし」だよ雪を呼ぶ 雪が降る 雪が舞う鰤が目覚めて 押し寄せる能登の男は 船を出す走る稲妻 冬の海荒れた波間に もまれて生きるふるさとは 海鳴りの 日本海寒さ蹴散らし 稼ぎ時能登の男の 血がたぎるわずか五尺の この躰冬の雷 気合を入れろ竜を呼ぶ 竜になる 竜が舞う鰤が跳ね飛び 光る汗能登の男は 海を獲る
誰も世間の 荒波もまれひとり小舟に ゆらゆら揺れる 似た者同士時化(しけ)の夜には 碇(いかり)を降ろすここは新宿 風待ち酒場 風待ち酒場明日はいいこと 少しはあると肩を寄せ合い あおる酒 mn…上手い世渡り できない俺が悔し涙を きりきり噛んで こらえた街さ何も言わずに やさしい女将(おかみ)ここは新宿 風待ち酒場 風待ち酒場朝になるまで つきあうからとのれん仕舞った 白い指 mn…帰りたいよな
母の匂いが 恋しい夜はいつもひとりで 子守唄あれから幾年 過ぎたやら数えて忍ぶ 春や秋きっと逢えると 手を合わせ仰ぐ空には 星の川古い手紙の 紙の束そっと広げて 読み返すいまでもこうして いれるのは迷わず生きて 来れたから夢があるから 辛くない見てて下さい 星の川声が聞きたい あなたの声を遠いふるさと 思う度眠れぬ夜には 目を閉じてあなたにそっと 逢いにいくいくつになっても 子は子供ひとり見上げる
夕暮れの 交差点は家路を急ぐ 人の波しあわせそうな うしろ姿を見つめてひとり佇むありがとうあなた 愛してくれて幸せだった 昨日までおもいで達が 涙を誘う私を 私をいたわるように人はみな 生きる場所を手さぐりながら 生きていくあなたの代わりに なれる人などこの先きっといないわありがとうあなた あなたのそばで大人の坂を 登れたわ映画のように あの日が映る別れを 別れを打ち消すようにありがとうあなた 愛
今なら云える あの頃を苦労話も 泣かないで明日の見えない その日の暮らし貧しさ憎んで したケンカ泣いていたでしょ 布団の中で声を殺して 母きずなこの町捨てて 逃げようと何度聞いたか 云ったやら夢は人ごと しあわせさえも言葉に出すのも 辛かった日がな一日 働きづくめ我慢我慢の 母きずなごらんよあれを あの空を星を見つめて 指を差すやっと気付いた このしあわせになんにもない このしあわせに楽な暮らしじ
遠く離れて 暮らす程ふるさとが 近くなる描いた夢を 追いかけてひとり佇む 道なかば戻れない 今はまだ 夢慕情まぶた閉じれば その裏に見えてくる 山や川あれから過ぎた 春や夏何度巡って いったやら忘れない いつまでも 夢慕情旅のほとりの 草枕思い出す 母の顔抱かれた胸の ぬくもりは今も心の 宝物振りむけば 熱くなる 夢慕情