通りすがりの古本屋ほこりかぶった「植物誌」棚からそっとゆりおこし歩きながら 頁をめくるいつしか足は下屋敷裏木戸開ける 霜風にえりをたてる アストラカン元気なテリアは 枯葉色さて眼を染めるのは 植物誌つゆくさ 柊 からすむぎ益子の茶わんの玄米茶ランプの影の一輪草まぶたが重い眠り草人界知らず植物屋敷秘密の花園カギ一つ
こんな夜の下にも 泣いている人と笑っている人がいる 私は思い出の橋の上ちぎられた あなたの手紙は河がどこかへ流してくれる「幸せ過ぎない 幸せにありがとう」二人で笑ったあの日の事を 水辺に写していますピアノをひくあなたの 背中が好きでした街灯のついた橋の上 あなたの歌が聞こえますでも今は あなたの背中しか思い出せないちぎられたあなたの心が このきりの中へと音もなく消えて行く悲しい女には なりたくない
私の好きなあの人は 好き嫌いの多い人でいつも残すもの 決まってる私は残りもの パセリでもそんな事は 部屋のすみの新聞紙の上に つみあげ外に出ようよ青い空を ムダにしたくない私を呼んでいるよ 荒波スカッシュついでにあの人の家の ドアをたたいてみたいけど今日はすてきな人 みつけるドリトル先生みたいな浜辺でさかだちしたり夕日をみながら 話すのやさしい うでの中で目にしみるよ にがい“しがあ”やっぱりあな
私のひざに雨がふるベッドの砂漠に陽が落ちて行くほおずき人形抱いてたあの頃みたいに泣きたいよ今日も私はただ一人砂の上に立たされているまるで窓のない部屋の中私のひざのにわか雨まだまだやみそうにない砂の上にねころんで波の音を数えているおとなになるという事は少しもうれしくないよ重い毛布を肩にかけまぼろしの丘を越えてきた者の様に疲れはててる私の勇気が背を向けて鏡の池に沈んで行く振り向けば螺旋階段羽根ぼうきで
私の庭にいらっしゃい 屋根の上の庭におまじないもかけないのに みんな遊びに来るよモグラ ひなぎく すずめ コスモスみんな一緒にくらしてるだから四角い メロンは作らない朝来れば お皿に朝日をのせて夜来れば お月様ソーダ割り小さなパーティー 一緒にいかが?虫の四重奏 木の芽のワルツ私の庭にいらっしゃい 靴にバネをつけてつかれたら 枝にとまって眠りなさいつぐみ 野ばら みつばみ つりがね草みんな一緒に待
ついおしゃべりになってしまうあの人の前ではいつでも後悔してしまうのbroken heart, broken heartただほほえんでいるだけのあの娘の方がきっとステキにうつったでしょ?おしゃべりな私のひとりごとどこかにいたらキューピッド飛んで来てよキューピッド彼のハートめがけてせつない気持ち伝えてよけさあの人が「オハヨー」って声をかけてきたのに胸がドキドキうつむいたままheart beat, heart
ブナの森の仲間たちもうみんな眠りましたか?なんじゃもんじゃごけのおじいさん悲しい恋をしたいらくさ姫の伝説 知っていますか?ぼくが大好きなおやすみ前の子守唄目が覚めたら明日こそ遠くの町の人々にハーヴの花束届けましょう心の棘がぬける様にどこかで聞こえるひつじの鈴の音風も眠ってしまったから 又あした月の光をあびながら眠ります
いつも一人でヘッドホーンをかけてあなたは夢見心地なの二人同じ部屋の中でもちがう世界にいたのねうなづく事しかしなかったけれど私のメロディー見つけたからあなたに聞いてほしい涙のコンチェルト 涙のコンチェルト遠く見つめる後姿なぜかいつも話しかけられない私の事きらいじゃないけど一人が好きな時あるのねどんな事でもうちあけてほしいのに心の中で叫ぶだけ口に出せないから……涙のコンチェルト 涙のコンチェルトこよい
雲よ月をかくせ今宵あの狩人が来る夜よ雪をふらせ 心も凍て付く程に鈴の音が響いて来た私の恋する人よ雪は深く前には進めぬ手綱をゆるめてここでお休み若き狩人よ凍えた指をあたためなさい私の身も心も燃やしてかまわない美しいそのほほが薔薇色に染まるまでつかの間の恋に身をこがしながら火の子と舞うのは赤いポルカ朝日よもう少し眠っていておくれ時をあたえておくれ……いつか夜が明ければ浅き夢からさめた様に雪をとかす朝日
雪の朝 お嫁に行ったねえさんのすそもようそこには つるがいたいつの日か 聞かせてくれたかあさんの昔話そこにも つるがいた空にとけてしまいそうな 白い雲そこからは何が見える 小さな私が見えるもしも声がとどくなら私のあこがれもつれていって空の彼方に消えそうな 白い雲あなたの空はどこにあるの だれも知らないもしも声がとどくならこの空があるかぎりいついつまでも はばたいてほしい
赤いノートなくした 遠いどこかで青いノートなくした 部屋のどこかで赤いノートも青いノートも同じくらい大切なのに……だけど だけど赤いノートの事ばかり思ってしまうのはいくら いくらさがしてももう帰らないから…もう帰らないから……
冷たい雨がふり出せばみんないそぎ足でかけ出して私の前を過ぎて行く私は帰る家がない冷たいほほ 細い指いつもきれいな服を着せられガラスの中に立っている私はマネキン人形ラー こんな私には ラー 誰も気づかない私はつくりものだけれども心はプラスティックじゃないの喜び あこがれ 悲しみも今はもうみんな知ってるあしたはこの街にさよなら知らない所へ行ってしまう今夜はこのまま眠らずにこの街を見つめていようラー ガ
図鑑の上の虫は知っていても土をいやがる子供達はばたく事も木の実をついばむ事も何も知らずにうごめく鳥たちビニール畑を渡るそよ風が季節はずれの野菜たちに首をかしげるこんなこんな地球だけど夢みるパワーを持ちなさい Oh! flower children!川を流れるささ舟や水すましはどこへ消えたの?シャツの汚れを落としたら河が汚れちゃ困るんだよ赤潮の海原を吹きぬける潮風がたどりつく浜辺ではゴミたちが泣いて
気が付けば外は雨のドレミ小さな虫早く お入り子供がいるなら つれておいで今日はここで 眠りなさい私一人なの お茶はいかが?小さな虫 お話ししてあげるこれが私の子守唄今日はここで眠りなさい
あれからもう一年も経つのですねこの駅であなたと別れてからかじかんだこの手をいれたあなたのポケットは とても暖かだったいつまでも 忘れはしないあなたにもらった このぬくもりを精一杯の笑顔をうかべて小さく手をふってくれたあなたへ何か言おうとしたけど声にならず白い息だけが 窓をくもらせた噴水のある なつかしいこの駅の広場は昔のままだけどただ新しい映画のポスターが時の流れを おしえてくれるいつまでも 大切
雨にぬれても 泣かないよ君の言葉より やさしいから。ぼくは歩いてる 無彩色の街を冷たい君の言葉がまわるこんな時こそ そばにいてほしいのに。だれもいない。君の立派な服はカビのにおいぼくのやぶれたシャツはお日様のにおいがいつもするよ。そんな言葉を言えるのはいつも 僕の心の中でだけ。雨にぬれても 泣かないよ。君の言葉より やさしいから。枯葉がぼくのあとをついてくるよカラカラと音をたてて 笑いながら。こん
ひたすらボクは走るよ 白い広野を恋する君のすがた 追いかけて…でも 君はすでに 恋してたボクを 好きにならなくて よかったねだって ボクはこんなに弱虫子供の頃を 思い出しても日陰ばかりを 歩いてたいつもおなかを すかせて母さんに言われてた あの言葉は今でも忘れちゃいない筈なのに強い者だけが 生きのこれるなんて信じたくは ないけど信じたくは ないけど強い者だけが 生きのこれるなんて信じたくは ないけ
まどが笑ってるよ、あんまり笑い過ぎて明りを消されたんだね?色んなあかりが、眼を覚したよ。私はバルコニーから手をふりましょう。遠くの地平線は、ユラユラあかりの背のびごっこだね?暗くなれば、みんな「おはよう」私は、ニコヤカに手をふりましょう。今日は、オールドファッションの雲が光ってた日でしたよ。電車もハーモニカを、ふいている。私もバルコニーから、広い空に向って歌をうたいましょう。
大きな帽子のアネモネ婦人ぼくとワルツを踊って下さいませんか?ここちよい春風と、午後のひとときは、あなたの為のもの。ウー ラ、ラ、ラ石垣の家の少女よ、まどからぼくに詩(うた)を読んで下さいませんか?白いもくれんの寝息がそっと聞こえるような、夜には。ウー ラ、ラ、ラさみしがりやの内気なあなたママのことを話して下さいませんか?ミヤコワスレもまつ毛を閉じて、あの空を思っています。ウー ラ、ラ、ラ
片えくぼの私の 片想いなのかしら今日もまた いつものバス停ですれちがうだけの あなたエンピツ倒して カタンコトン愛してます 愛されてます占うゆくえは こんなに素敵な愛の芽ばえです愛してる ただそれだけが言えないのとても素敵なあなたへ夕べ お風呂上がりに 鏡に映った私どうしてこんなに可愛い娘あなたは放っておくのでしょう私の大事な宝物思われニキビもつぶさずに毎日こんなに 一生けんめい育ててきたのに愛し