涙かくした この掌(てのひら)も夢を見ただけ 幸せでした海猫(ごめ)に尋ねた あなたの行方(ゆくえ)ふたりの命 ひとつに重ね朝を恨んだ 絵鞆(えとも)の岬愛がさすらう ここは室蘭 尽くし抜いても 儚いえにし海は吠えてた あなたをしのびあれは烏賊(いか)釣り 漁り火灯りふたりの契り こよなく思いひとりたたずむ 鳴り砂浜辺愛がさすらう ここは室蘭 添えぬこの世は 出会いと別れうつつか夢か まぼろしなのか燃
陽はのぼる 船は行く白い波間に カモメさんあのひとは いまどこにひとりしょんぼり つぶやくのカモメさん カモメさん どうすりゃいいのわたしこころが 行き止まりああ 淋(さみ)しいよ砂によごれて 泣きぬれて涙が枯れて しまってもなくしたくない ひとだから 目を閉じりゃ そばにいる夢をみたいの カモメさんつないだ手 ほどけても愛はわたしの 命なのカモメさん カモメさん お願いだからもしも あのひと見かけ
もいちど生まれてくる時はわたしは女を選ばない雨の新宿 ネオンの花火行きずり くちびる 爪の跡街にまぎれて 恋にはぐれて今更どこへも 帰れないもいちど生まれてくる時はわたしは女を選ばない もいちど生まれてくる時はやっぱり女に生まれたい夜の新宿 区役所通りいたずら 意地悪 罪つくり愛がほしいの 夢を見たいの名も無い花でも 花は花もいちど生まれてくる時はやっぱり女に生まれたい 遠く漁火 浜にゃ潮騒父さん母さ
街の灯りで つぼみも開くそうよあたしは 夜の花嘘も上手に つけるほど悪い女に なりましたそりゃあ時々 寂しくてひとり泣いたり するけれど切ないね 悲しいね曲がりくねって行き止まり ハァ…東京迷路 惚れて尽くして 捨てられましただってあたしは 夜の花夢は十九で 反故(ほご)にして生きて来ました 生きて来たスッと流れる 流れ星北の空まで 飛んでゆけ酔わせてよ 飲ませてよ歩き疲れてつまずいて ハァ…東京迷
呑めないお酒傾けて 夜が更けて行くひとりの夜のむなしさは 捨ててしまいたい一つ二つ三つと嘘を 重ねるあなたもういいの…どこへでも消えてよ 辛いから恋は夢、夢なのね あの人ながれ星 凍てつく街の遠灯り 風が啼(な)いている窓辺の下の足音が 夜に消えて行くもしやあなたあなたじゃないの 未練が揺れる何故こうも…追いかけてくるのよ せめるのよ愛は夢、夢なのね あの人ながれ星 時は流れ幻なのね くやしいけれども
あげる物など もうないしいつかこうなる 気がしたわさっきあんたが 投げつけた別れ話が 突き刺さる情なし男に 騙されちゃった悲しい女の 独り言こんなもんなの 男と女どうすりゃいいのよ 明日(あした)から 行っていいのよ どこにでも待っている女(ひと) いるんでしょ放(ほう)っておいてよ 私なら生きて行けるわ 一人でも情なし男に 泣かされちゃった虚(むな)しい吐息が 吹き溜(だ)まるイヤよイヤイヤ 置い
七つの橋を 振り向かないで渡る渡れば願いが かなうと聞きましたあの日交わした 約束は夢ですか 嘘ですかこころが 身体(からだ)を抜けて果てない 愛に走る何故だかわたし 何もこわくないあなたに逢いたくて 逢いたくて金沢 暗がり坂で あなたの腕にすがるすがれば愛しさ あふれて泣きましたあの日交わした 口づけは夢ですか 嘘ですかこころが 身体(からだ)を抜けてはるかな 闇を走る何(なん)にも言わず どうか
群れからはぐれた 海猫は傷つくことが 好きなのさ大きな波と たわむれて自分の強さ ためすのさ真っ白気まぐれ 翼が折れた海猫をあんた あんたと呼んでひとり見つめてる帰っておいでと 呼んでみたって ああ…知らんぷり 抱いたと思えば すぐ逃げて月が欠けると 逢いに来る悲しい噂 引き連れてわたしの夢を こおらせる心が迷子の 翼が寒い海猫をあんた あんたと呼んで今日も待ちわびる淋しいひとだと 知っているのは 
吐息しぼって寝返り打つと波止場のかもめが夜啼(な)きする右の枕はあんたの陣地あれからぽっかりあいたまま海の男は遊んでなんぼ惚れたら負けよと笑われて膝っこまるめて浜歌うたえばあんた恋しと恋しと涙がしける 星の数ほど男はいると姉さん強がり言うけれど潮が引いてもからだは残るあん時いっしょに濡れたまま海の男は暴れてなんぼ信じちゃ駄目よと泣かされて漁(いさ)り火ゆらゆら思い出たどれば未練あふれてあふれて背中が
波間に浮かんだ小枝の上で渡り鳥は 羽根を休めるという私なら命が尽きるまで飛んで あなたに逢いにゆく恋がこんなに 苦しいとあなたに出逢って知りました…男と女のあいだの 運命(さだめ)の海峡は涙よりもっと 蒼(あお)い色ですか こころも凍える冷たい海で波の花は誰を 想って咲くの私ならどんなに離れてもきっと あなたの為に咲く胸の痛みは 消えないとあなたと別れて知りました…昨日と明日のあいだの 運命(さだめ