水の匂いが眩しい通りに雨に憑れたひとが行き交う雨あがりの街に 風がふいに立る流れる人波を ぼくはみているぼくはみている雨に病んだ飢いたこころと凍てついた空を街翳が縁どる雨あがりの街に 風がふいに立る流れる人波を ぼくはみている
ぼくらが電車通りを駆け抜けると巻きおこるたつまきで街はぐらぐらおしゃれな風は花びらひらひら陽炎の街まるで花ばたけ紙芝居屋が店をたたんだあとの狭い路次裏はヒーローでいっぱい土埃の風の子たちにゃあ七つの海もまるで箱庭さ右手の烟突は黄色い煙を吐き左手の烟突は紅い煙を吐くみんな妙に怒りっぽいみたいみんな妙に怒りっぽいみたい
街のはずれの背のびした路次を 散歩してたら汚点だらけの 靄ごしに起きぬけの露面電車が海を渡るのが 見えたんですそれで ぼくも風をあつめて 風をあつめて蒼空を翔けたいんです蒼空をとても素適な昧爽どきを 通り抜けてたら伽藍とした 防波堤ごしに緋色の帆を掲げた都市が碇泊してるのが 見えたんですそれで ぼくも風をあつめて 風をあつめて蒼空を翔けたいんです蒼空を人気のない朝の珈琲屋で 暇をつぶしてたらひび割
マーマレード色のおてんとさま息を切らして笑い声麦わら帽子をぶんなげて駆け出したい田舎道かわいいお前は お天気屋光のなかを泳いで来てしかめっつらして笑い出す駆け出したい田舎道向日葵(ひまわり)ぼうぼう燃えているわらぶき屋根の庭さきでおかみさんにこにこごあいさつ駆け出したい田舎道太陽ざあざあ降りそそいで菜の花畑に寝ころんでお前の耳たぶすきとおって駆け出したい田舎道
曇った空の浅い夕暮れ雲を浮かべて烟草をふかす 風はすっかり凪いでしまった 私は熱いお茶を飲んでる「君が欲しい」なんて言ってみて裡でそおっと滑り落す吐息のような嘘が一片私は熱いお茶を飲んでる雪融けなんぞはなかったのです歪にゆがんだ珈琲茶碗に 餘った瞬間が悸いている私は熱いお茶を飲んでいるもう何も喋らないで そう黙ってくれればいいんだ君の言葉が聞こえないから雪景色は外なのです なかでふたりは隠れん坊絵
乾いた街に 風が吹きはじめた冷たい通りを抜けて 君の窓までいつまでもまつ事はないまぼろし達をおいはらえ春一番がつくるのはそれは君の春の祭春一番の風は 春一番の風はヤスガーズ・ファームへ君を連れていくのだろうかこの街を出る為に 今港に漂う君の船の帆柱に 春一番の風が吹くイヤな街だよこの街は声もうつろに響くだけ春一番に誘われて君の船をこぎ出そうよ春一番の風は 春一番の風はヤスガーズ・ファームへ君を連れ
あいうえを かきくけこさしすせそそそそ たちつててととなにぬねの はひふへほまみむめもももも やいゆえよらりるれろろろろ わゐうゑを ン
向ふを行くのは お春じゃなゐか薄情な眼つきで 知らぬ顔沈丁花を匂はせておや、まあひとあめくるねはるさめもやふのお春じゃなゐか紺のぼかしの 蛇の目傘に花桅子の雨が けぶるおや、まあこれからあひびきかゐ婀娜な黒髪 お春じゃなゐか淡くれなゐに 頬紅そめりゃあ巴旦杏もいろなしさおや、まあ春らんまんだね暖房装置の冬が往くと冷房装置の夏が来たほんに春は来やしなゐおや、まあまた待ちぼうけかゐ
はいから・びゅーてぃふるはいから・びゅーてぃふるはいから・びゅーちふる
はいから はいからはいから はいからぼくははいから血塗れの空を玩ぶきみと こかこおらを飲んでいるきみははいから裳裾をからげ賑やかな都市を飾る 女郎花ぼくは ぼくははいからはくちはいから はいからはいから はいからぼくははいから血を吐きながらきみののおにただ夕まぐれきみははいから唐紅の蜜柑色したひっぴーみたいぼくは ぼくははいからはくちはいから はいからはいから ら ら
ところは東京麻布十番折しも昼下り暗闇坂は蝉時雨黒マントにギラギラ光る目で真昼間っから妖怪変化ももんがーっももんがーっおーももんがーっ蝶々はひらひらひーら蝙蝠ぱーたぱた怪しげな雲流れる黒ソフトに耳まで裂けたロで「ごぶさたでした」と草疲びれた声ももんがーっももんがーっおーももんがーっ思い出してみればお婆ぁちゃんの昔噺でお目にかかった以来「苦労ばなしのひとつやふたつ聞かせろ」と手を取り行くのも絵空事もも
空いろのクレヨンできみを描いたんですそっぽを向いた真昼の遊園地で花模様のドレスがとても良く似合うんでぼくのポケットにはいりきらないんですぼくはきっと風邪をひいてるんですきみの眸のなかで雲が急に雪崩れるとおもて通りはブランコのように揺れるんです画用紙のなかのきみはとても綺麗すぎるんで透き徹った冬に帰ってしまうんですぼくはきっと風邪をひいてるんです
淡い光が吹きこむ窓を遠い田舎が飛んでゆきますぼくは烟草をくわえ一服するときみのことを考えるんです黝い煙を吐き出しながら白い曠地を切り裂いて冬の機関車は走りますきみの街はもうすぐなんですゴオ ゴオ ゴオ と雪の銀河をぼくはまっしぐらなんです飴いろの雲に着いたら浮かぶ驛の沈むホームにとても素速く飛び降りるのできみを燃やしてしまうかもしれません
マストに風を巻いて海に乗り出せ低い雲をしょったら西まで連れてけ破れ空から洩れてる光をたぐって土と木の実をしょったら都市の海まで連れてけ肩のオウムは 何を歌う思い出せない 昔の詩(うた)奴はエイハブ 気取って海をひとかき沖のカモメは 潮時を唄ってはばたくはるかな海は何を思うさけび出したい“とりかじいっぱい!”“風がなけりゃ ねえ船長”(×4times)マストの風をたたんで彼は今夜霧のメリケン波止場で
お正月といえばこたつを囲んでおぞう煮を食べながらかるたをしてたものです今年はひとりぼっちで年を迎えたんです除夜の鐘が寂しすぎ耳を押えてました家さえ飛び出なければ今頃みんなそろっておめでとうが云えたのにどこでまちがえたのか?だけどすべてをかけた 今はただやってみよう春が訪れるまで 今は遠くないはず春よ来い 春よ来い
田舎の白い畦道で埃っぽい風が立ち止る地べたにペタンとしゃがみこみ奴らがビー玉はじいてるギンギンギラギラの太陽なんですギンギンギラギラの夏なんです鎮守の森は ふかみどり舞い降りてきた 静けさが古い茶屋の 店先に誰かさんとぶらさがるホーシーツクツクの蝉の声ですホーシーツクツクの夏なんです空模様の縫い目を辿って石畳を駆け抜けると夏は通り雨と一緒に連れ立って行ってしまうのですモンモンモコモコの入道雲ですモ
さよならアメリカさよならニッポンさよならアメリカさよならニッポンバイバイ バイバイバイバイ バイバイ
ときどき戦闘機が墜ちてくる街に今日は朝から雨がしとしと黝んだ水溜りを飛んだ少女はとっておきの微笑ぽつん旧いふぃるむのようなざぁざぁ雨に戦車のような 黒雲びゅうびゅう人攫いの夢に怯えた少女はいっちょうらの涙をぽつりあしたてんきになあれあしたてんきになあれさっきまで駆逐艦の浮んでた通りにのっぴきならぬ虹がかかったその虹で千羽鶴折った少女はふけもしない口笛ひゅうひゅうあしたてんきになあれあしたてんきにな
四辺は俄かにかき曇り窓の簾を洌たい風がぐらぐらゆさぶる正午のてれびじょんの天気予報が台風第二十三号の接近を知らせる空を鼠色の雲が迅く迅く迅く迅くはしり 風はどんどんどんどんふいてくる台風 台風どどどどどっどーどどどどどっどーみんな吹きとばす街はしーんと闇くなり樋からあふれ落ちた水は道の真ん中を我物顔ですべる地面にぴしぴしとびはねる雨は天の投げ飛礫地上の洗濯に風と雨粒は我武者羅にそこら一面ぐるぐるぐ
いつも 通り雨にゃいつも 通り雨にゃあの町 この町どの路地もひっそり閑いつも 通り雨にゃいつも 通り雨にゃほおづき クチュ
冬化粧 白は流れて砂糖菓子の街 ひっそりとテーブルには牛乳瓶に詰められた ぼくらの春がほら ごらん冬が空をゆっくりと渡ってゆくよ冬がだんだん遠くなる春の部屋 緑は流れ木蓮の花 咲き乱れて鳥になった ぼくとお前は溶け出した春に舞い上るあしたあたりはきっと春
ふらり ふら ふら 風来坊 風来坊朝から 晩まで 風来坊 風来坊 風来坊風来坊 風来坊風来坊 風来坊疲れてる 風来坊 風来坊いつまでたっても 風来坊 風来坊 風来坊風来坊 風来坊風来坊 風来坊ララララララ ララララララアラアララララア ラアララアラアラアララララアラアラア風来坊 風来坊 風来坊ふらり ふら ふら 風来坊 風来坊歳月たっても 風来坊 風来坊 風来坊風来坊 風来坊風来坊 風来坊風俗低俗
雨のむこうに街が煙って赤や黄のパラソル涙に濡れて12色の色鉛筆でスケッチされたお前の顔ねえ もうやめようよ こんな淋しい話お前の暗い瞳の中に青褪めた街 深く沈んでねえ もうやめようよ こんな淋しい話
知らない空が ぐるりとまわり冬の絵の具が 淋しく流れるどの通りにも さよならなんて淋しい言葉が 滲んでいるだけこうしてぼくは待っていようきみが微笑みを想い出すまでは
古惚け黄蝕んだ心は 汚れた雪のうえに落ちて 道の端の塵と混じる何もかも嫌になり 自分さえ汚れた雪のなかに消えて 泥濘になればいい車が驟る白いものは雪 人が渉く雪は白い 都市の裏の吹き溜り其の時ぼくは見たんだ もっと深く韻く何かを 黙りこくった雪がおちる都市に積る雪なんか 汚れて当り前という そんな馬鹿な 誰が汚した
涙ぐんだような碧めた月が うとうとしている隙に忍び込んで来て 部屋を浄っている 何かが近づく気配がしている壁や床板の密やかな息に 雨が吹きなぐる とても不可思議な夜だった時が羽撃いて辺りを顫わす底知れず深い二月が漂い 眩瞑く弾ける敵がいるんだ硝子のように 冷いつめたく螺子曲がった針の 背後に蟄れている とても不可思義な夜だった暖い布団を温々くと纏う 私は冷い何を怨うか 何を呪うか硝子壜の底で喘
亜米利加から遠く離れた 空の下で何が起るのか 閉ざされた陸のようなこころに 何が起るのか嘘で固めた画描きのぺてん師があのへたな空を描いたような気がする一つの憧れが 羽をもって 詩が生れても一つの試が生れても 誰が歓ぶか嘘で固めた母親のぺてん師が生れた子供を殺すようなそんな気がする
あやか市 おそろ市や わび市ではないのです ぼくらのげんじゅうしょはひとご都 なのですこおちゃをすするおまえ ぼくのどがからからだぜ からから ぱいろっとのからから わらいですからだをまさぐり つながろうとしたんだふれあえないこと しっているくせのあやかしおまえとぼくがいる けど ぼくらはいないのです じゆうをかたりあいかべにぬりこめあう ぼくらです
朝がカーテンの隙間から洩れ横たわる君を優しく包む 白い壁に光は遊び なんて眠りは 君を綺麗にするんだ 今僕のなかを朝が通り過ぎる 顔を乖け ひとりで生きて来た 何も見なかった何も聞かなかった そんな今迄が昔のような気がする もう起きてるの眠そうな声 眼を薄くあけて 微笑みかける 何も答えず 息を吸い込む僕は暖い 窓の外は冬
どうしたというんだ 時計の音が気になる 眠れない 眠れないいらいら いらいら いらいら苦しい 苦しいんだ 息をすることもできない 多過ぎる 多過ぎるいらいら いらいら いらいら嫌だ嫌だ 何もいいことなんてない 街へ出ても 部屋にいてもいらいら いらいら いらいら