この部屋はいつも夕方 – のうじょうりえ

隣のアパート 夕日色の壁
お揃いの色に染まった洗濯物
上の人、今日もいないみたい
この部屋はいつも夕方

排水溝がまた流れなくなって
擦ったハブラシは広がったまま
溜まって 詰まって くたびれて
どっちが片す、この掃き溜めを

黄昏のふたり
眩しい日差しはどこに行ったのだろう
黄昏れる頃に
もう少ししたら君が帰ってくるのに

丸くなった猫の目 電気を点けて
君が残した洗い物片付けて
上の人今日もうるさいな
この部屋はいつも夕方

鍵をかけないで出かけても
大丈夫そうなくらい
少しでも早く帰ってくるように
君の好きなケーキ買って
歯も磨かないで待ってたんだよ

黄昏のふたり
それぞれ違う夕日色に染まった
黄昏れる頃に
終わりは過ぎて 穏やかな夜が
来るのを待っている

黄昏のふたり
藍色混じる 西の空 紅い名残り
黄昏れる頃に
あの日と同じ 夕日を見たかった

1つのベッドに 2つの今日
差し込む街灯 ぼんやり眺める
顔も見えないその日まで
この部屋はいつも夕方