草枕 – さだまさし

寂しさに耐えかねて 窓をあければ
西に傾く月影に 蒼くふちどられて浮浪雲
遠くで枕木が 旅をかぞえている

渡り鳥が南の空をめざして
帰るあてのない旅に出る オリオンの胸かすめ乍ら
凩よ息を呑め かばうように虫の音

よろこびの中に かなしみがあるように
かなしみの中から よろこびが生まれる

長い坂道があり そこで生まれて
営みを重ね生きて来て 振り返りもせず歩き来て
いつしか気がつけば そこもまだ 坂の途中

思えば人と出会い いつか愛し合い
疑いそして憎み合い 許し合いまた 愛し合い
見失いめぐり逢い 全て 草枕

よろこびの中に かなしみがあるように
かなしみの中から よろこびが生まれる

東の空にやがて朝が生まれる
夜はかならず明けてゆく 傷も必ず いえてゆく
転んでも倒れても そこもまだ 坂の途中

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