THE BARRETT

どろどろ – THE BARRETT

星の視える夜は
あの娘を右手に抱きしめ
決まって朝まで
呑んだくれてるのさ

なけなし果たいたら
気楽になった気もするが
明けたら寒さが
ちょっとだけ凍みるよ

十五で目覚めたら高くも跳ねたくて
背伸びをしてみたが大して変わらねえ

地道にやるのが俺に似合いだよ
少しは報われる時もあるのさ

はあ
必要なだけのお金をくださいよ
おう
馬車馬の様に働けよ直ぐに出来るだろ

真夏の夕立も二人には楽しくて
まるで子供の様に燥(はしゃ)いでいたものさ

正面(まとも)に働いても
良い事なんか見つからないが
毎月不安になるよかましかなあ

はあ
何時になりゃ給金上げてくれるかな
おう
何て暢気だね裸で裏から出て行きな

俺なら今夜も窓辺であの娘と
風を煽(あお)って得意になってるよ

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じっとしてろ – THE BARRETT

兎角こうまで変わった世の中じっとしてればいいもの泳ぎ切るのも何だか妙にぎこちない気がするのさ歩を進める度に失ってくくだらない過去の代わりに様々な思惑の渦の中俺も

ゆらゆら – THE BARRETT

人気の無い暁の街翳にひっそり佗む薄い影絵の君ゆらゆら揺れてる この身を憐れみ情けを見せつつ玩ぶんだろあんたも可哀想にね同じ穴の貉になるよゆらゆら ふらふら旋毛(

天国の月 – THE BARRETT

大きな荷物を抱えていたけど草疲(くたび)れた夢にゃ不似合いだったのさ今まで暮らしてくれてありがとう空の薄墨が溶け出す前に行くよ未だ見ぬ重さに潰されそうだ怯えて気

生まれた時から – THE BARRETT

今夜は独りにしないで行き着く先が視えるから痛みを隠し笑っても寂しくなったら俺等の家に来いよ寒い時は二人で抱き合っていれば何も恐くなかった筈だろう気の所為(せい)

俺はあやかし – THE BARRETT

夜をひとっ飛び俺等はあやかし浮かれ調子の喇叭(らっぱ)吹き鳴らす言葉巧みに人を誑(たぶらか)す馬の糞でも喰らうが良いよ戯れと笑い飛ばすよ流れを乱し睨みを利かす碧

裸の日々 – THE BARRETT

飛び出したミサイルが彼方を狙い逃げ惑う人々の群れが視えるそれを嘲笑うかの様に崩れ次々と道を塞ぐビルの残骸が矢継早に唸る轟音に怯え俺達は後戻りできぬ事を知る僅かに

雨曝しの夜に – THE BARRETT

舞い上がる西風に攫(さら)われたいよ膨らむだけ膨らんだ風船だから人知れずひと思いに終わりたいよ蒼褪めた人波にもう耐えられない震えて受話器を握る繋ぎ止めたいのに戸

日向で寝てる – THE BARRETT

穏やかな午後日向に寝そべりちっとも変わり映えのない日々を疎(うとん)じてみるけど大きな夢に少ない元手じゃ今更気負ってみても始まらないかな判った顔してしばしば仕事

含羞航海記 – THE BARRETT

世の中を易く渡れぬ奴等が縋(すが)る女共力で振り払い見渡す限りの大海原に人生賭けると港を後にした太陽ぎらぎら照りつけているよゆっくり進路を進んで行く船俗世の汚れ

せっかち一週間 – THE BARRETT

螺子(ねじ)の外れた子供が云うには俄か仕込みだけじゃ長持ちしないぜ派手で中身の無い女にさえ鼻であしらわれりゃ行く末不安だ自由気儘に生きてきた心算(つもり)が予定

箱入り子供 – THE BARRETT

訳知り顔の箱入り子供(がき)が大手を振って歩いているよ道に寝そべる俺に一瞥(いちべつ)屑山を踏みつけてくよ若さにかまけ無闇矢鱈と威勢の良い事ばかり云うよ先を見越

愛想尽かした – THE BARRETT

愛想尽かしたよ全て捨て去るつもりだ日暮れを待たずにお前は家を出たのさ満ち足りた夢を見続けるのを拒んで何処までもつづく道に果敢に挑んだ雨の降る夜は血塗(まみ)れに

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