遠郷タワー — MOROHA

一度だけ たった一度だけ
あの街へ帰ろうと思った事がある
いつだって電話越しに「もう帰って来なさい」
って言っていた母が初めて俺に
「悔いの無いように頑張りなさい」と言った時
皮肉にも母の元へ帰りたいと思いました
俺は親不孝者でしょうか
東京から 遠い故郷へ

楽しそうな奴らに抱いた疎外感
「友達をつくりに来た訳じゃないから」
舌打ちを乱射 裏には寂しさ
愛車の電車乗り換え 漕ぐ自転車
オシャレとじゃれ合う金はなく
泣く泣く春物を二枚重ねたなら冬物さ
あったけぇ耳当て兼ヘッドホン
爆音で冬のミルクを聞かせてバックホーン
近所のスーパーで待ち合わせ
人気のない惣菜コーナーでひっそりと
半額シールくっつけられたお前と
売れ残り同士 手を繋ぎ帰ろう
疑いながらも信じたくなるんだよ
飲むだけで痩せる錠剤とか聴くだけで話せる教材
それから諦めなけりゃ叶う夢

「良かった 本当に良かった 故郷を捨てて あの街を捨てて
しがみ付く手を振り切って良かった」
言えるようにならなくちゃ
「良かった 本当に良かった 故郷を捨てて あの街を捨てて
しがみ付く手を振り切って良かった」と
言えるように

深夜バイトあと3分カウントダウン
でもクソダサいユニフォーム脱ぎ捨てたところで
年中無休24時間一人体制で人間はどこまでだって続くんだ
未来が見えない それが不安で
未来が見えない それが救いだ
だけど本当は察しがついてきてる
反吐が出る位に下らない平凡な将来
それも悪くない なんて言える程強くない
絶対に良くない と言える程の意思はない
何度なくなんとなくの選択を繰り返し
えげつない速度で過ぎていく毎日
訳もなく泣けてくる涙一雫
この街が見てる だから無理にでも胸を張る
東京摩天楼 甘すぎた幻想
見下すビルや人には負けんぞ

「良かった 本当に良かった 故郷を捨てて あの街を捨てて
しがみ付く手を振り切って良かった」
言えるようにならなくちゃ
「良かった 本当に良かった 故郷を捨てて あの街を捨てて
しがみ付く手を振り切って良かった」と
言えるように

お父さん 迷惑をかけてごめんなさい
お母さん 心配をかけてごめんなさい
正月も帰らないつもりです
だって胸を張れるような報告は何一つありません
カウント10じゃ終われない人生 その後にイレブンやトゥエルブが待ってる
わかってる でももう少しだけやらして下さい
だって「諦める」なんて憧れの言葉で
いつかは辿り着きたい位です
それは寒気がする程に向き合った奴だけが口に出来る言葉の筈で
俺にはまだその資格はないと思うんです
だから「夢を捨てる」なんて今はまだ言えません
収まるゴミ箱が心にはないんだよ
最後に笑いたい いや違う
最後まで笑っていたい

「良かった 本当に良かった 故郷を捨てて あの街を捨てて
しがみ付く手を振り切って良かった」
言えるようにならなくちゃ
「良かった 本当に良かった 故郷を捨てて あの街を捨てて
しがみ付く手を振り切って良かった」
言えるようにならなくちゃ
「良かった 本当に良かった 故郷を捨てて あの街を捨てて
しがみ付く手を振り切って良かった」と
言えるように