高橋優

白米の味 – 高橋優

仕事終わりに同僚と家路を歩いている時
俺らに声をかけてきた年頃の女子二人組
「これからちょっとうちらと一緒に遊び行きませんか?」
「なんならあたしの部屋に一緒に遊び行きませんか?」

俺らもまだまだ捨てたもんじゃないのかな?
これはいわゆる逆ナンてやつかな?

同僚も俺も鼻の下伸ばしてうなづいてたんだ
あれよあれよで初めて会った女の部屋ん中
今夜の出会いにー!とか言いながら乾杯したんだ
たまにはこんな夜を過ごしても罰はあたらんかな

部屋のライトを薄暗くして微笑んでる
あの子の狙いはさておきさっきから 俺、正直

腹減った
真っ白いご飯が食べたいんだ

愚にもつかない話をしながら夜は更けてって
トロンとした目でこちらを見つめてる女子二人組
「実はうちらには彼氏がそれぞれいるにはいるのね
だけど遠距離でなかなか会えなくて寂しいのね」

「彼氏に会うまで寂しい夜にはうちら2人して
同じように寂しそうな人たちに声かけて
ワンナイトラブでもなんでもいいから付き合ってもらって
そしたら寂しい夜が楽しい夜に早変わり」

話の展開にとても驚愕しつつ
遠距離の彼氏の気持ちどこへやら きっと今頃

頑張ってんだ
今すぐに君に会いたいんだ

腹減った
真っ白いご飯が食べたいんだ

お菓子やおつまみパクパク頬張り続けた後で
白米を出されたって美味そうに見えないみたいに
間食ばっかしてるやつらに飯の味は分かんねえだろうよ
つまみ食いのような日々のあとに会う恋人の心よ

そう言って部屋を飛び出した僕の耳に
「腹でも減ってたのかな?あいつ」って笑う声が聞こえる
はい、その通り

腹減った
真っ白いご飯が食べたいんだ

腹減った
真っ白いご飯を食べさせてくれ

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