青木隆治

二つの糸 – 青木隆治

生まれる前から二人は
壁越しに声かけてくれてたの?

泣き声聴いて喜んで
笑い声聴かせてくれたの?

覚えているよ 狭いアパートで
川の字になって寝てたよね

休みの日には手を繋いで出かけた
そんな日が懐かしくて

一つの糸が切れてしまって
心は泣いて叫んでいたよ

でも二人は変わらずに愛を
僕に与えてくれてるから

別の場所で時を重ねても
ずっと切れない二つの糸

雪溶け 草木が芽を出し
その瞳(め)には僕のこと どう見えるの?

優しさ溢れる声さえ
毛嫌いした僕を理解できるの?

何故に二人はその手を離して
別の道を歩いてくのか

分からないまま 心を塞いだまま
もがいてた 青い時代

一人になって 一人で暮らして
誰かを愛して傷ついて

無償の愛も 覚悟の別れも
少し分かることができたはず

子供は親を選べないと思ってた
あの頃にさよなら

思いやりも人を愛すことも
二人が教えてくれました

今では二人の子供でよかったと
心からそう思っています

上手く想いを伝えられずにいるけど
ありがとう 今言うよ

生涯離さないよ 二つの糸

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