西田佐知子

たそがれの恋 – 西田佐知子

汽笛の音が 窓ごしに
ものうくひびく 港のホテル
男と女の 仲なんて
なるようにしか ならないわ
いいの今さら どうでもいいの
もう 恋なんて

タバコの灰が 足もとに
ぽとりと落ちた 港のホテル
ひとりで悩んで 苦しんで
なんだかとても 疲れたわ
何をするのも めんどくさくて
もう いやなのよ

海から吹いて くる風も
日暮れにやんだ 港のホテル
ミモザの匂いに 包まれて
このままそっと 眠りたい

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くれないホテル – 西田佐知子

あなた知ってる くれないホテル傷を背負った 女がひとりそっとブルース くちずさみ真紅のベッドに 涙をこぼすああ くれない くれない誰が名づけたくれないホテル霧に

気になるあなた – 西田佐知子

気になる言葉のこさずにあなたは一人 雨の中消えてしまったの心当りを探してけれどどこにもいないあなたは いないも一度 一度 あの人に夢からさめた そのわけをたしか

あの人に逢ったら – 西田佐知子

あの人に逢ったらそっと言ってほしいのサルビアの花が枯れたってガラスの窓に頬あてて女がひとりうたってたってあの人は来ないあの人は来ない私が嫌いになったからあの人に

夜霧のむこうに – 西田佐知子

冷たくなった あなたの瞳も一度みるのが わたしは恐いふりむいて なんかくれなくたって いいいいの 恨みはしない夜霧のむこうに 消えてってだまっていても 待ってて

雨の夜曲 – 西田佐知子

雨も夜風も 私にだけはなんでこんなに つれないの恋の落葉に 身はうらぶれてここかしこ あてもなく さまよう夜路――雨がふる風に消される 恋とは知らず燃えた女の 

信じていればこそ – 西田佐知子

つめたい舗道をそんなにも急いで 来ては 危ないワいゝの! いゝの! いゝのよ!私はあなたの云い訳をそっと聞くのが 好きだから…いゝの! いゝの! いゝのよ!私は

一対一のブルース – 西田佐知子

火と火を重ねりゃめらめらと胸の炎が 燃えあがる一対一の 恋をしてつらいさだめに 泣いているあたいはゼロの 女さア 女さアむかしのあんたの 思い出が窓のむこうで 

東京ブルース – 西田佐知子

泣いた女が バカなのかだました男が 悪いのか褪せたルージュの くちびる噛んで夜霧の街で むせび哭く恋の未練の 東京ブルースどうせ私を だますなら死ぬまでだまして

女の意地 – 西田佐知子

こんなに別れが 苦しいものなら二度と恋など したくはないわ忘れられない あのひとだけど別れにゃならない女の意地なの二度と逢うまい 別れた人に逢えば未練の 泪をさ

東京讃歌 – 西田佐知子

恋をすれば 東京の空は青い青空に 手をさしのべて胸に抱きしめよう 金色の光貧しいけれど こころは幸せ太陽が 夢を育てる 東京恋をすれば 東京の空は青い木枯に痛め

サルビアの花は知ってる – 西田佐知子

サルビアの 花の紅さは夕映えの 恋のかなしさ逢えなくなるのねもう これからは街角で ふたりは聴いた恋の終りを告げる 鐘の音…サルビアの 花は知ってる愛された 夢

赤坂の夜は更けて – 西田佐知子

いまごろ どうしているのかしらせつない想いに ゆれる灯かげむなしい未練とは 知りながら恋しい人の名を囁けば逢いたい気持ちは つのるばかり赤坂の夜は 更けゆく夜霧

アカシアの雨がやむとき – 西田佐知子

アカシアの雨にうたれてこのまま死んでしまいたい夜が明ける 日がのぼる朝の光りのその中で冷たくなった私を見つけてあのひとは涙を流して くれるでしょうかアカシアの雨

信じていたい – 西田佐知子

信じていたい あなたの言葉信じていたい ただそれだけよ心の奥で あなたの事を愛しているの ただそれだけよあなたは 青い街角に消えてそのまま かえらないどこへ 行

コーヒー・ルンバ – 西田佐知子

昔アラブの偉い お坊さんが恋を忘れた あわれな男にしびれるような香りいっぱいのこはく色した飲みものを教えてあげましたやがて心うきうきとっても不思議このムードたち

エリカの花散るとき – 西田佐知子

青い海を見つめて伊豆の山かげにエリカの花は 咲くという別れたひとの ふるさとをたずねてひとり 旅をゆくエリカ エリカの花の咲く村に行けばもいちど逢えるかと…山を

裏町酒場 – 西田佐知子

酒をのもうと 生きよと死のとあんたなんかの 知らぬことどうせまともに 生きたってつらい世間の うしろ指男なんかにゃ 欺されないと鼻で嘲笑ってひくルージュ夢を持ち

愛の別れ – 西田佐知子

愛しています こころからあなた一人を 誰よりもこのまま別れて どうしよう生きて行けない 淋しくてあなたはわたしの いのちなの淋しい朝の 目ざめにも街をひとりで

神戸で死ねたら – 西田佐知子

再びあなたと くちづけさえもかわすことのない 私でしょうね今日の限りの メリケン波止場神戸で死ねたら 私の恋はいつか異国で 生命みじかい女に 女になるでしょうあ

死ぬまで一緒に – 西田佐知子

好きなの 好きなの 死ぬほど好きなの好きだといって…どんなに冷たくされたっていいえ 私はついてゆく…死ぬまで あなたと一緒にいたい死ぬまで あなたと一緒にいたい

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