城太郎

  • 太陽のしわざ – 城太郎

    それは太陽の仕業 甘いオレンジの匂いゆらりゆれる ふわり触れる木漏れ日に名前をつけにゆこう 街を抜け 口ずさむメロディは優しいあの頃を連れてくるよ地平線 探しにゆこうと決めた本をたたんだら 風に乗るのさ 錆びたフェンス 君の相槌響くチャイム どこか遠くへ それは太陽の仕業 甘いオレンジの匂いゆらりゆれる ふわり触れる木漏れ日に名前をつけにゆこう 誰かがくれた大切な言葉胸に抱きながら 見つめた夕日北…

  • 桜の雨 – 城太郎

    明日には言えるような気がしたバスは揺れながら春をゆく目を閉じて最後の絵を描いた水彩に滲むはしゃいだ頃 雨のように花が降ってゆく黒い髪がなびく 胸の音で目覚める 桜の雨 僕は君を探してまた繰り返し繰り返して笑うさよならまたいつか会えた時にもきっと笑うよ 三月の君はすごく綺麗でやわらかい月に打ち明けて 届けたい言葉を編んでも花びらを数えても 季節は歩いてゆく 時をとめて君を連れ去ってしまいたい雲を裂く…

  • ゼリービーンズの雨が降る – 城太郎

    眠れずにチャンネルまわしたビデオデッキの時刻は15分ずれてる外は雨 濡れてるベランダつまらないねと壊れたはずのメトロノームが刻む フライパンがまるでブリッジしてるシンクニュースは平行線 誰か笑ってよピアノを鳴らすよこぼれ落ちそうなほど素敵なメロディ まるでここは夢の中 和音が漏れて外はゼリービーンズの雨が降り続くミッドナイト今夜ここに君がいない だけどフレーズは響くねえ 聞こえるかい 君にも 本屋…

  • 黒い空 – 城太郎

    カラスのゆうことにゃ 人は耳を貸さない人がもし鳥なら カラスみたいなもんさ 変わり果てた世界で強くなろうとしてきたその意思をくちばしに宿し越えよカラス 抗い生きろ弧を描き見つめるその瞳は美しい 黒い黒い黒い空を生きるただ術を貫いているだけ青い青い青い空はひどくこの世界を惑わすだけ 夕立ち降り注ぐ 山へと続く空懐かしい歌さえ 忘れてしまいそうで あまりに白く無垢な心を脅かされぬように神は色を下さった…

  • 王様の食卓 – 城太郎

    今日のランチはなんだろう 朝から気になってるよローストビーフは前菜さ 特に理由もないのさ そうだ明日 パーティーをやろう秋の収穫祭をやろうよナスにシメジ パンプキンパイ 昨日もやったけど明日もやろうよ パーティーを 王様はいつだって 食べることが幸せさ毎日フルコース 人生このままフルコースさときどきヘルスメーター ときどきおなかをこわしてでもなんだろう満たされないこのぽっかりは何だろう ある日城下…

  • 飛行船に憧れて – 城太郎

    四角い涙をこぼした時の青い青い空を忘れない転んだ先に落ちていた土だらけの教科書 母に手をひかれた駐車場の空に飛行船ひとつ あんな風(ふう)に あんな風(かぜ)に乗ってどこまでも行けたらいい夢を乗せて 見知らぬ国へ少年の瞳に空を映して どうしてあんなこと言ったんだろう君を怒らせてしまったつかみ合ったシャツがよれていたひとりぼっち帰り道 明日になることがこわかった夕暮れ飛行船ひとつ 空(くう)を切って…

  • 初恋はアイスキャンディ – 城太郎

    君と初めてのデート 並んでたべたアイスキャンディハズレの棒で笑えてた ゴミ箱を探して歩いた波の合間にキスをした 砂の数だけ想ってた茜に染まるあの空を おんなじ顔で見つめていたんだ 君はいまどこにいるんだろう 今年もまたあの夏がくる 初恋はアイスキャンディのように甘く 溶けてゆくバニラエッセンスの匂いが 売店の窓から溢れてゆくよさよならって君が泣いた ありがとうって僕が泣いたサンダルの音が響く 君の…

  • クジラの夢 – 城太郎

    子供の頃読んだ童話にはもうひとつの世界があったんだ僕は翌朝旅に出た貯金箱と大事な本をいくつかもって ゆらりゆれる太陽のかげ雲はまぶしく光るおじいさんにもらったパンをかじったら クジラの背中に乗って海をゆこう裸足のまま 空は気まぐれ海水のメロディ 泡のようにじゃれよう日は昇る そんな奇跡を胸に抱いて 風に飛ぶ麦わら帽子で君に気がついた昼下がり首にぶら下げたハーモニカ旅の理由を聞かせておくれよ まわる…

  • 花の咲く日向へ – 城太郎

    ペダルはぎこちなくて返すべき言葉を探した 加速していく時間だけを景色のように見ていたなのに君があんまり笑うから朝が少し好きでさ両手いっぱいの種をまく姿に 目が離せない この世界を君は青く 青く染めていく光が窓を通り抜けるきら きら きら坂道の先にある 花の咲く日向へ 水玉模様が好きだと笑う君 季節の中 忘れかけてたあの光を たやすく君は灯した陰日向で消えそうな頃あっちへ行こうよって言った雲を指で追…

  • ともだちのつくりかた – 城太郎

    ガラス瓶を落として 破片を拾い集める日々遮光性のカーテンと戯れる右手 優しい君の言葉さえ 信じられない僕放課後のざわめき 壊したくなる掲示板 舞台のうえで踊り続ける僕らセリフを間違えて 罵声が響くスポットライトの熱に慣れることもなくて踏み外した檀上 ともだちがいない 隠したものを出しなさい 震える腕はもうもたない正義や悪があるのならどちらがどちらを裁くだろう こんなもののためならばと 焼却炉へ向か…

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