入山アキ子

信濃慕情 – 入山アキ子

あなたと歩いた 信濃路を
一人で歩けば 冬の雨
はぐれ鳥啼きながら霧の彼方へ飛んで行く
私にはもう 帰る胸もない
背中が濡れる 心も濡れる
幸せ遠い 恋でした

生きてることさえ 辛くなる
思い出ばかりの 信濃川
こぶし咲く夕暮れのからまつ林に陽が落ちて
はらはらと 花びらが降りかかる
あなたの胸に 甘えたことも
はかない夢と 消えてゆく

心も命も 一つだと
二人で誓った 信濃宿
押し寄せる寂しさに崩れそうです一人では
もう一度逢いたいと 胸が泣く
愛しいあなた 忘れられずに
あふれる涙 止まらない

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哀恋歌 – 入山アキ子

雪のあかりに この身をゆだね溶けてゆきます しのび宿好きだから 夢の中どこまでもひとすじに どこまでもあなたに抱かれて 命の愛を生まれてはじめて 知りました燃え

雨のよりそい花 – 入山アキ子

ひとりが淋(さみ)しい 雨降る夜は飲めぬお酒を 並べています傘もささずに 夜の街濡れてあなたは 流されて女の心を 裏切るけれど憎めないのよ 二人は一つ何も云わず

きずな道 – 入山アキ子

生きてゆくのが 辛くなるよな苦しく哀しい 茨(いばら)の道もこの世に生まれた 試練だと明るい笑顔に 夢を乗せあなたは何時でも 前向きでしたお母さん お母さん私も

出逢い橋 – 入山アキ子

恋にはぐれた 男と女吹雪の中を さまよえば見えない糸が 引き寄せる二人を結んだ 出逢い橋越後湯沢の 氷も溶けて春の息吹が 聞こえます同(おんな)じ傷持つ あなた

秋芳洞愛歌 – 入山アキ子

永遠(とわ)の国から 湧(わ)いてくる愛の清水に 吸いよせられて影がより添う 秋芳洞よああ この水の 流れのように澄んだ私を あなたにあげたい秋のリンドウ 春の

紀淡海峡 – 入山アキ子

燃える夕焼け 二つの命溶けて流れて 沈む紀ノ川恋の名残りを さまよう胸に面影までも 消えてゆく紀淡海峡(きたんかいきょう) 鳴くように遠く汽笛が 汽笛が響く生き

追憶のタンゴ – 入山アキ子

季節(とき)は流れて あなたも消えて心もからだも 痩せてゆきます風の便りを 追いながら逢いに来ました この町で誰に思いを 話せばいいの恋しい貴方は あなたは何処

女・なみだ酒 – 入山アキ子

女がひとりで 飲んでる胸に寂しさばかりが 沁みてくる飲んでも酔えない なみだ酒あなた ゝ あなただけしか 愛せないのに二度と逢う日は ないのでしょうか今でも貴方

港町 なみだ雨 – 入山アキ子

霧が降る降る 港町濡れたからだを抱きしめりゃあゝ別れたあなたの 移り香にこらえた涙が あふれて落ちる港 函館 なみだ雨夢が散る散る 港町暗い波間に 浮かぶ顔あゝ

溺れ酒 – 入山アキ子

酒は飲むもの 呑まれちゃ駄目と云ってた私が 溺れ酒こんな私に なったのはあなたの あなたの あなたのせいよ夜に泣いてる 雨が降る雨の音にも 涙が落ちる弱虫 泣き

雪散花 – 入山アキ子

しんしん降る雪 窓に咲くしのび逢う夜の 港宿激しく抱いた その後であなたは出て行く 私はひとりゆれて哀しい 寒椿雪に埋もれて 散る運命ホロホロ涙が とまらない枕

雨に散る花 – 入山アキ子

咲いてすぐ散る 沙羅(しゃら)の花誰が名づけた 一夜花(ひとよばな)たとへ儚い 命でも明日を夢みて 咲く花に何故に無情の 雨が降る雨に心が あるならばたった一夜

知床岬 – 入山アキ子

北へ 北へと 流れる船のデッキにひとり立てば 涙のしぶき胸に抱いてた あなたの写真暗い波間に 消えてゆく帰らぬ人は もう待たないで明日に生きる 女の旅です命 命

ザンザ岬 – 入山アキ子

いい奴(ひと)見つけて 一緒になれよ俺らを当てに するなよと野寒布(ノシャップ)岬で あのひとが投げた別れの 横波がザンザザ ザンザザ ザンザとヨーザンザザ ザ

恋待岬 – 入山アキ子

北の海は荒れて 波のしぶきが胸をうつ心みだれて このまま海に流されそうで 泣けてくるあんな男と世間は 噂をするけれど何があっても好きだからあなたをずっと 待って

大事な人だから – 入山アキ子

道草につかれて 遊びにも飽きたのね私の隣で 眠る人寝顔を見ていると なぜか憎めないのよ私を忘れて いないのなら望むのは ただひとついつも帰って くれればいいの最

悪女の季節 – 入山アキ子

別れに泣くのは 女じゃないわ今どき未練は 男のものらしいさよならしたら 振り向かないわ街の灯りが 少しにじむけど愛しすぎて 苦しくなるのきっとあなたは 知らない

秋はあなたと共に – 入山アキ子

春に桜は咲いていますか夏のそよ風は心地よいですか冬の厳しさに心凍えていませんかもしも 季節(きせつ)にとり残されても泣かないで ひとりぼっちで明日は笑顔になれる

みだれ舞い – 入山アキ子

あなたの胸に この身を投げて帰さないわと 困らせる苦しむだけと 知りながら愛した女は 夜叉になる「抱きたい女と抱けない女 私はどっちなの」あなた道連れ 舞い散る

女のブルース – 入山アキ子

女ですもの 恋をする女ですもの 夢に酔(よ)う女ですもの ただ一人女ですもの 生きて行(ゆ)くあなたひとりに すがりたいあなたひとりに 甘えたいあなたひとりに 

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